題名に惹かれて買ってしまった。本を選ぶときはいつも巻頭言と目次と奥付と著者略歴には必ず目を通すのだが、待ち合わせに遅れそうだったので、よく見もせずに題名だけで買ったのだ。山好き且つ本好きの自分としては、こんな題名を見ては抛ってはおけない。そう、魔が差したのだ。
それまで読んでいた本を読み終わり、本書をいざ読もうと思ってあらためて目次を見ると、ぱっと見ではなんとなく山の環境(environment)について書かれている本のように見受けられた。ふむふむと思って「はじめに」から読みはじめると・・・ぜんっぜん違うじゃん。『山の社会学』というタイトルも、単なるエッセイではないとの思いで付けた
という。なにこれ、ひょっとして、逆にこの本はエッセイなんだってこと? エッセイが読みたくて買ったんじゃないのに。
で、読み進めると、やはりエッセイだった(泣)。より正確には、新聞記者である筆者が、自分で取材したデータをエッセイ風にまとめた、という感じだろうか。「社会学」を名乗る以上、登山という一つの社会を論理的に解明しているものと期待したのに、論理もへったくれもない。聞いたこと・見たものを羅列して、ちょこっと感想が書いてある。まあ blog みたいなもんですね(笑)。そのつもりで読めばなんてこともないのだが。てか、そんな本だと知ってたらまず買わない。そんなのウェブにはいっぱい転がってて、タダで読める。
まあ、よく確かめもせずに買った自分が悪いといえば悪い。でもこれに「社会学」はいくらなんでもひどすぎる。途中で読むのをやめようと何度も思ったが、もったいなくてつい読んでしまった。後から思えば読んだ時間がもったいなかったか。途中からはもう、ツッコミを入れることを主眼に読んでいた。
それでも強いて収穫を挙げるとすれば、最終章「もう一つの登山の楽しみ」だろうか。日本アルプスの好展望台や、奇岩怪石観察の視点などについてのヒントが得られる。でも、それだけ。それに、そんなのはガイド本の領域だろう。
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