KATZLIN'S blog

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フレンチカレー@横濱カレーミュージアム2005-11-02 00:00

相棒Kが仕事で関内に来るというので、待ち合わせて横濱カレーミュージアムで昼食。キャンペーン中の「横浜5大フレンチカレー・フェスタ」の品を中心に、ふたりでお試しサイズを3皿食べた。


ア・ラ・ブッフ・シュン「オリジナルカレー」
まず一口食べたときはトマトベースのような気がしたが、あとでサイトを見てみたらワイン+玉ねぎとのことだった。そういやこの香ばしさは玉ねぎを長時間炒めたときのアレだ。辛さも自分にはちょうどよく、満足できた。
うまやの食卓「驛のポークカレーライス」
いくつか種類があるうちの温玉乗せをチョイス。豚の角煮が入っている。「昔懐かしいカレー」系の味で、そのわりにはスパイスの香りもしっかりしていたのが新鮮に感じた。玉子をつぶすとぐーんとマイルドになり、醤油もちょっとかかっているので懐かし感がアップ。角煮・玉子といった甘い素材とカレーがマッチするのが面白かった。
石鍋裕の店「欧風カレー」
フォン・ド・ボーがベースだと思う。とろりとしたカレーと煮込んでほろほろになった牛すね肉が、いかにもフレンチだ。味は素晴らしいが、個人的にはもっと辛い方が好みだ。昔、横浜そごう地下にあった、大好きだった「シド」のカレーを思い出した。

いずれも「厳選!横浜名店カレーの店」の出物なのだが、コーン入りのライスがなんかイマイチだったような。最初に食べたア・ラ・ブッフ・シュンのカレーが一番辛かったので、あとの2つの香りは充分に楽しめなかったかもしれない。食べる順番を誤った。
ちなみにお試しサイズはかなり量が少ない。女性でも2皿はいけるのではないかと思う。

クリスピ・フツーラ(テレマーク・ブーツ)2005-11-03 23:49

クリスピ・フツーラ
南町田のモンベルショップのアウトレットで、テレマーク・ブーツを買った。
買ったのは、クリスピのフツーラというモデル。旧商品ということで、30,000円の品物がなんと5,800円。足を入れてみたら、履き心地はいいしサイズもぴったし。ほとんど衝動買いだ。

4シーズン使っているアリコのブーツは内張りが薄すぎてゴツゴツして痛いうえ、浸水がひどかった。春の尾瀬で、浸水してふやけた足をずっと締めつけていたおかげでひどい靴擦れをおこしたこともあった。履き心地のいい靴が欲しかったのだ。


靴紐がなく、バックルだけで締めるタイプ。バックルもベルクロで扱いやすい。革ブーツだが縫い目がほとんどなく、ベロも一体型で浸水には強そうな気がする。ベロの上端にもソフトな布地があって、足首にも良さそうだ(ここが革だと足首にめり込んで痛いのなんの)。ソールはビブラムの普通のテレマークのやつ。そういや流れ止めを付ける輪っかがない。けどゲーターにあるから大丈夫かな。

と、まあ、まだ買ってきたばかりなのでいいところばかりが目に付くのだが、さて世間の評判はどうなんだろう。帰宅して早速検索してみると・・・
なっ、なんと日本語では情報ゼロ。英語サイトでもほとんど見当たらず、テレブーツについて考察しているサイトで「ツアー向き」にカテゴライズされているだけだ。うーむ。
というわけで、この靴の写真は、Web上ではこれが世界初公開なんじゃないかとか思ったりしたのだった。

レヴィ=ストロース入門(ちくま新書)2005-11-06 17:38

昨年の12月に買ったまま、読むのをすっかり忘れていた本を発見した。今となってはどうして買ったのかまったく思い出せない。が、とにかく読んでみた。

レヴィ=ストロースの著作は(もう10数年も前のことだが)「今日のトーテミスム」を読んだことがあって、書いてあること自体はわかったのだが、「だからなんなの?」という感想しか持てなかった。また、構造主義について書かれた解説書も読んだが、難解だったり退屈だったりで読み流してしまい、結局「構造主義ってなに?」という要求に応えてくれるものではなかった。
で、この本がこのふたつの不満を見事に解消してくれたのだった。ごく大雑把に一言でいうと「人類普遍の法則のようなものを探しだす」ということがしたいのですか。ふんふんと思って件の解説書をぱらぱらめくって見ると、ちゃんとそんなようなことが書いてあるじゃない。トホホ・・・


一番おもしろかったのは神話研究のくだりだった。さまざまな地域の民族の神話を解体し、共通項を拾い出して整理する。自分はこういったデータベース化作業が大好きなのだ。それに、神話によくある荒唐無稽なあらすじのわけもそれなりに説明がついているので、なんだかさっぱりした気分になった。
また、よく知っている日本の神話で同じ作業をするとどうなるだろうか、という興味がわいてきた。

これまでに読んだ構造主義の本はどれも、基礎的な知識があることを前提にした本だったのかもしれない。またそれらを読み直してみたいと思った。ただ、「あとがき」によればこの本は大方の研究者が承認していない解釈をするという点で通常の入門書から逸脱しているらしいので、ここでまた「通常」の本に戻ると迷宮にハマりそうな予感がしないでもない。
それにしても、「構造」と「体系」の違いがまだわからんとです・・・

(小田亮著、2000年)(2005年10月21日読了)

氷壁(新潮文庫)2005-11-10 23:15

氷壁がドラマで放送されるというので、気になって本棚の奥から引っ張り出して読んでみた。この本を読むのは'97年以来2度目だ。当時は冬山に関する知識がほとんどなかったが、この8年の間にいろいろ覚えたので(インターネットのおかげだ)、理解は少し深まったと思う。

あらすじは覚えていたが、さすがに細部は忘れていた。主人公は魚津だが、意外にも美那子の心理描写がかなり細かい。おかげでずいぶんとイライラさせられた(こういうタイプの人にはイライラしてしまう)。


にしても、ドラマである。魚津が玉木宏ですか。
玉木宏っつうと、自分の中では強烈に優男なイメージができあがっていて、どうにも山男のイメージがわかない。ミスドの看板に座って微笑みながらカフェオレを勧めているあの姿と山が結びつかないのだ。山でこんなきれいな顔したヤツ、見たことない。そこいくと山本太郎はいそうな気がするから不思議だ。そういや山本太郎とはNEC、吹石一恵とはマルイのCMで共演している。

舞台もK2だとか。
するとラストではK2に単独で行くのだろうか? かおるを中国に待たせておいて、魚津はパキスタン側から登るわけだな? 常盤にウソをついてパキスタンに行くのか? 常盤は「まさかネパール行きじゃあるまいね」と言って航空券を見るとパキスタン行きなので、これは山じゃないな、と思うのだろうか? 最初成都あたりで待っていたかおるは、魚津がちっとも来ないから・・・と、くだらない妄想は果てしなく続くのだった。
ロケがニュージーランドで舞台がK2というと、あの荒唐無稽なバーティカル・リミットを思い出してしまう。あのような、山をコケにしたようなドラマにはしてほしくないものだが。

(井上靖著、昭和38年)(2005年11月1日読了)

林間カツカレーパン(中央林間パンの家)2005-11-12 22:33

朝まで降っていた雨もあがり、青空が見えてきたので午後から散歩に出かけることにした。境川沿いに歩いて南町田のグランベリー・モールに行くのがここのところのお決まりコースだが、今日はちょっと趣向を変え、川を離れて中央林間まで行くことにした。お目当ては、先月カレー・ミュージアムに行ったとき「カレーパン頂上決戦」で食べそこなった中央林間パンの家の「林間カツカレーパン」だ。


団地の紅葉 団地の紅葉
13時過ぎに家を出た。日差しがあるので長袖のTシャツ1枚と薄着だ。それでも、意識して早足で歩くので結構暑い。空は高く、通りがかった団地の広場ではカエデの木が赤く色付いて秋空とのコントラストが美しかった。

R16から見た丹沢
境川の河岸段丘の坂を登りきったときは汗がじんわりとにじむくらいだった。歩くには最高の陽気だ。塀の中の敷地に3棟もの住家が建っているような豪邸の並ぶ道を進む。同じ苗字が多い。さまざまな形の巨大な家は見ていておもしろい。
国道16号を渡る歩道橋からは、丹沢の山並みが見えた。丹沢の方は意外にも雲が多く、大山も隠れていた。

林の中の整備された散歩道
一度深堀川の谷状地形を下り、登り返す。どんどん道なりに進んでいくと林に入った。道はきれいに舗装されている。林はすぐに切れるが、気持ちがいいのでそのまま歩道を進む。が、太陽の向きを見るとどうやら南西に向かっているようだ。このままではたぶんつきみ野に行ってしまう。自分の体内磁石ももっと右に行けと言っている。地図くらい持ってくればよかった、と激しく後悔した。
そこで思い切って右ターン。大きな材木屋の間を縫い、幼稚園を過ぎると、突然右手を小田急電車が走り抜けた。おお、これ昨日のタモリ倶楽部の「電チラ」だな。うお、しかも白い列車の次にすぐさま反対からステンレス編成が。こりゃあポイント高そうだ。

秋空に建物の曲線が映える
電チラが見えたのは「セ・パルレ中央林間」というマンション群の間の道路からだった。このマンションは曲線が印象的で、見上げるとなかなかイイカンジだった。

もうここまで来ると中央林間の駅はすぐそば。お目当てのパン屋をネットの地図で見た記憶から探す。が、ない。ぐるぐるまわったが、ない。自分たちは2年前まで東林間に住んでいて、この中央林間近くもよく買い物なんかに来たりしていてちょっとは土地カンがある。で、そういえばサニーマート(今は美容室になってしまった)の近くにパン屋があったよなあと思い出し、まさかと思って行ってみたらビンゴだった。なあんだ、あのパン屋だったのか。名前までは覚えてなかったのだ。

店内にはいろいろな雑誌の紹介記事などが貼り出されていて、どうやらなかなかの評判のようだ。以前、何回かパンを買ったことあったけど、その頃はそんなに有名じゃなかったような。
お目当てのカツカレーパンは品切れ。トレイには、ズームイン朝で試食をしているシーンの写真が貼ってあった。なんと10月に放送されたばかりのようだ。それじゃあ人気が出ても仕方ないか。でも空腹だったので、ちょうど揚がった牛肉コロッケパンなどいくつかのパンを買って食べることにした。会計のときに相棒が何の気なく「カツカレーパンはもう終わりですか」と聞くとなんと「あと2分で揚がります」とのこと。
というわけで、少し待っただけで揚げたてをゲットできたのだった。とりあえず10数個並べられた「林間カツカレーパン」は、瞬く間に残り数個になってしまった。我々はかなりラッキーだったのだ。

林間カツカレーパン 林間カツカレーパン
先ほどのセ・パルレにたくさんベンチがあったので、そこまで移動してパンを食べた。
おお、これは美味い。中にはトンカツが2切れ。ちゃんと衣をつけて揚げてある。肉も柔らかくて歯できちんと噛み切れる。パン全体はクルトンで覆ってまるごと揚げてあり、このクルトンの食感がおもしろい。クルトンが油を吸うためか、カレーパンにありがちなギトギト感も感じられない。第一、カレーじたいが美味い。

夢中になって食ってしまった。一口分だけフィニッシュ用に残して他のパンに移る。まず牛肉コロッケパン。こっ、こりゃまた美味い。コロッケがサクサク。ちょっぴり多くてベチャ気味のソースがマヨラーの自分にはツボ。サクサクとベチャベチャの感覚が絶妙だ。続いてサンドイッチ。揚げ物もよいが、パン生地もしっとりしていてなかなかグッド。
腹いっぱいになり、残りのカツカレーパンで締めくくった。

つるま自然の森 夕空
満足したあとは、セ・パルレの北の雑木林を抜けて、東林間から相模大野に出て伊勢丹で夕食の材料を買って帰った。
林の中は今朝までの雨のおかげでぬかるみが酷く、抜け出たあと靴を見たらとても街中を歩いたとは思えないほど汚れていた。伊勢丹を出て谷口の跨線橋から見た夕空は美しかっ た。よく食べ、よく歩いた一日だった。

ユングでわかる日本神話(文春新書)2005-11-20 00:02

レヴィ=ストロース入門」を読んで神話のなりたちについて興味を持ったところ、たまたまこの本を見つけたので買ってみた。ユングだからもちろん文化人類学ではない。が、世界の神話をタイプ別に分類していて、作業じたいは似ている。分類したうえで心理学的な解釈を加えるのが違うところだ。

大学の講義を本にしたものということで、かみ砕いた説明が非常にわかりやすい。イザナギ・イザナミやスサノオなどの馴染み深い話が出てくるし、西洋絵画を見ているとしょっちゅう出てくるギリシャ神話なんかが比較対象になっていたりする。で、日本神話はかなり特殊な位置付けになるようだ。
心理学はほとんど知らないのだが、作者の論理はちょっと強引かなあと思うところもあった(そういえば「父性の復権」もそうだった)。だがかえってそれがおもしろく、ぐんぐん読み進んでしまった。


レヴィ=ストロースのような、細かく分解して並び替えて「ほーら、同じでしょ」というやり方だと、「だから何なの?」と思ってしまうが、こちらは話のファクターを心理分析して意味付けしていくので、安心感がある。
神話=宗教とは、我々は何者なのか、生まれる前はどうしていたのか、死んだ後はどうなるのか、ということを説明して安心させるものだと思うが、この本じたいがまさしくそんな感じに読めてしまった。

講義ノートのためか脱線もところどころにあって、それも雑学的でおもしろかった。ゴヤの「わが子を喰らうサトゥルヌス」では子どもを食いちぎっているが、神話では食べられた子どもはそのまま出てくるので、呑みこんだのが正解なのではないか、などなど。神話が題材の絵画は今までぼんやりと意味も無く見ていたが、ちょっと見方が変わりそうだ。

(林道義著、平成17年)(2005年11月9日読了)

一杯の紅茶の世界史(文春新書)2005-11-20 00:03

世界史と銘打っているので通史的な話なのかと思って買った。が、話はあちこちに飛ぶし、文献・科学の面での掘り下げも乏しく、これはどう読んでも歴史本ではない。作者が紅茶に関係する土地を訪問したときの話が多く、どちらかというと「紅茶に関する歴史紀行」という感じだ。なんというか、題名と内容がまったくかみ合わない。そもそも、「一杯の紅茶」がどの紅茶を指すのかが不明である。

というわけで、最初歴史を読むつもりだったのを途中から頭を切り替えたのだが、すると俄然興味深くなり、紅茶よりはコーヒー党である自分にもとても楽しく読めた。


日本で紅茶というとおそらくインドの印象が強いと思うが、実は発祥は中国だ。その中国で飲まれているのは緑茶が圧倒的に多く、世界三大紅茶のキーマンでも現地の人たちは緑茶を飲んでいるというのが印象的だった。
また、アッサム紅茶やセイロン紅茶の開発史や、トーマス・リプトンの立身話は実におもしろかった。すべてはイギリスを中心に回っているのだと思った。しかしそのイギリスでも近年は消費が落ち込んでいるのだそうだ。

ところで、この本を読んで今までまったく意識しなかった茶の原料を初めて知った。「カメリア・シネンシス」という椿科の木だ。このとき、「茶」とは不思議な飲み物だと思った。「紅茶」「緑茶」はともかく、「ミント茶」「玄米茶」のように、違う植物から出来た飲み物にもやたらと「茶」がつく。その法則でいくと「カメリア・シネンシス茶」か「椿茶」が妥当なところだろうが、そうは呼ばない。「茶」として定着しきっているのだ。そもそも、茶の木の名前なんていったいどれだけの人が知っているのだろう? 試しに「カメリア・シネンシス」で検索をかけてみると558件しかヒットしないのだった。

紅茶のウンチク満載で、なんだかちょっと豊かな気分になれたのだった。

(磯淵猛著、平成17年)(2005年11月17日読了)

北斎展2005-11-23 23:31

北斎展
自分は浮世絵は広重とか国芳が好みだが、相棒は北斎派。結構楽しみにしていたようだ。今日を逃すと最終日まで行けそうにないので、急遽出かけることにした。

何ヶ月か前に、NHKBSハイビジョン特集で「天才画家の肖像」と題した北斎の生涯を扱った番組を観たことがあった(他には広重など)。それによると、晩年は肉筆をずいぶんと描いていたようだった。版画は世に何枚も出回っていて、他にも見る機会も多いだろうが、肉筆はそれひとつしかない。そこで今回は肉筆画を中心に鑑賞することに決めた。
1995年に江戸東京博物館で「葛飾北斎展」があったのだが(画号ごとに6期に分けて展示という趣向が同じだ)、このときは展示品はすべて国内所蔵のものだった。今回は海外からも多くの品が里帰りするというのも楽しみだ。

前夜にネットで情報収集。だが肝心の東博のサイトがなぜか開かない。すでに見に行った人のブログを見るとすごい混雑のようだ。まあ、いつも我々は朝一番で行くので、心配はいらないだろう。

・・・・・・と、思ったのだが。


9:16、上野駅に着いてみると、公園口の美術展入場券売り場には行列が。プーシキン展もあるのでこの混雑なのだろう。入場券を2枚買って、早足で博物館に向かう。「当日2回券」なるものもあったが、そんなに長居はしないだろうと思いノーマルのチケットにした。

行列
9:26、博物館前に到着。なんとすでに開門していて、中を人々が歩いているではないか。会場である平成館の入り口からすでに行列ができており、最後尾についたのは入り口はるか手前、本館の向かって左脇を少し入ったところだった。うへー、こんなの初めてだ。5年前の国宝展のときだって、こんなにひどくなかった。
このまま帰って平日に仕事サボって見に来ようかとも思ったが、考えてるうちに入り口に到達してしまった。まーいいや、観ていくことにしよう。

展示は年代順になっているため、お目当ての最晩年は最後の方だ。また、第3室以降の方が北斎として有名なものが多く見応えがあるという情報もあった。というわけで入場後は迷わず第3室へ。いきなり北斎漫画などがあったが、人が群がっていて見ることあたわず。そのまま突き進むと富嶽三十六景があった。ここはまだ人波は少なかったので、ここからじっくり観ることにした。以下、印象に残ったもの。

富嶽三十六景
No.278-307。やはり青が美しい。
初摺りの説明があり、2枚の「凱風快晴」が並んでいた。摺りによる違いを味わうという趣向だ。東博のものと、もう一方はケルン東洋美術館の所蔵品。ケルンの方が明らかに出来がいい。富士山の山肌や、空のグラデーションがきれいなのだ(もう1枚、離れたところに展示されていたギメ美術館のも同様だった)。それにひきかえ東博のは色がくっきり分かれていて、単なる塗り絵に見えてしまう。しかし「凱風快晴」といえば、このくっきりしたイメージだ。だからこそ「赤富士」とも呼ばれるのだと思うのだが。
思うに、浮世絵の蒐集に当初熱心だったのは欧米の人たちで、その頃に良品が海外に流出してしまい、日本人が蒐集に乗り出したときには残り物しかなかったのではないだろうか。というわけで、所蔵者が海外のものをチェックして優先的に観るように方針転換。日本のものは今後も見る機会はあるだろう。
ちなみに帰宅後に95年の展覧会の図録を見てみたら、凱風快晴は東博と同じタイプの塗り絵系の摺りだった(江戸東京博物館所蔵)。
柳に烏図
No.472。肉筆。ボストン美術館所蔵で、本邦初公開とか。最初、奥から手前に飛んでくる烏のアニメーションかと思ったが、手前のヤツが他の1羽の頭に食いついているので、どうやら群れらしいということに気付いた。流れるような構成が見事だと思った。
にしても、カラスというには愛嬌がありすぎると思うがどうだろう。
流水に鴨図
No.488。肉筆。大英博物館所蔵。雄鴨の青色の質感がよかった。青首って言うくらいだから、青がきれいじゃないと鴨じゃない。

第3・4室を観終わって第1室に向かうとすでに溢れんばかりの人で、階下では入場制限もされているようだった。展示室内は人・人・人。ロクに見えないので1室・2室は素通りして再び3室に戻ったが、こちらもすでに人垣が3重になっていた。こりゃもうダメだと観念。カタログ(3,000円、高っ)と画号印Tシャツを買って脱出した。

行列 表慶館とユリノキ 本館とユリノキ
11時。外に出てみると行列はさらに増幅してたいへんなことになっていた。いくら祝日で行楽日和だからって、こりゃあいったいどういうことだ。それに北斎ってそんなに人気あるわけ?
東博のシンボルであるユリノキの黄葉をまったりと眺め、まだ11時をちょっと過ぎたばかりだが東洋館1Fのレストラン「ラコール」(以前の精養軒)で昼食。11時30分頃には満席になってしまったので、アブナイところだった。

禅院額字 表慶館ドーム
食事を終え、本館と東洋館をぐるりと観て回り、伊万里焼展で久々に表慶館が開いていたのでエントランスのドームだけ見上げてから、法隆寺館にも行った。東博フルコースは数年ぶりだ。
本館は企画展示の「コレクションの保存と修理」が面白かった。絵絹はわざと劣化させたものを使う等々。東洋館では最近流行の書を堪能。国宝の書跡がずらりと並ぶ。法隆寺館はお気に入りの竜首水瓶が九州に貸し出されて見られなかったのが残念だった。
にしても人が多い。特に外国人が多いのはいったいどうしたことか。と思っていたら、なんと留学生の無料開放日だったのだった。いつもは足音すらほとんど聞こえない東洋館に、あんなにたくさん人がいるのは初めて見た。

楽しめた展覧会だったが、ひとり1,500円は高いなあと思った。で、帰りの電車でちらしを読んでいると、2回券はペアで使うことができるとあり、衝撃を受けた。それならひとり1,300円だったのに。「『当日』2回券」とか書いてあるから、同じ日に2回出入りするためのチケットだと思ってしまったのだ。よくよく見てみると、「前売2回券」てのがあったから、『当日』てのはそれとの区別だったわけね。ま、リサーチ不足だったというわけで。
(東京国立博物館、2005年11月23日)

かめ仕込み古酒カレー(カフェ沖縄式琉球珈琲館)2005-11-24 23:17

今日は昼食になんとなくカレーミュージアムに行った。まったく知らなかったのだが、偶然にもリニューアルオープンの日であった。
ハヌマーンの特別メニューのダル豆とマトンのカレーが気になったが、新規出店の「カフェ沖縄式琉球珈琲館」のメニューを見たら「甕仕込み古酒カレー」なるものがあって無性に食べたくなったので、こちらにした。


並と大盛があったので、とりあえず並にした。また、「ぶくぶくコーヒー」なるものがあったので、あわせて注文した(ホットとアイスどちらもOKで、アイスにした)。
カレーは、能書きによると、スパイスにゴーヤーなどを使い、それを泡盛で練るんだそうな。いったいどんな味になるんだ? 注文してからもわくわくして、本を読もうとしても手につかない。

まず、食前サーブでお願いしたぶくぶくコーヒーが運ばれてきた。見ると文字通り、ぶくぶくしている。ひとくち含むと独特の香りがぷうんと口中に広がった。甘さは黒糖シロップで調整せよとのことだが、シロップなしでも充分イケる。確かにコーヒーなんだけど、ココアのような、粉っぽい感じもする。不思議な美味しさだった。

間もなくカレーがやってきた。色は薄めで、豚バラ肉や豆が入っている。香りはかなりスパイシー。すくってみると、スープはゆるめ。
まずはひとくち。・・・!! なんじゃこら。酸っぱくて、かすかに苦い。続いて辛さが広がった。なのにマイルド。思わずふたくち目を口にする。今度は酸味はあまり感じない。引き続き、具のバラ肉を食す。ん、ちょっとしょっぱい。そう、これはバラ肉じゃなくて、ラフテーだったのだ。こういうとこも沖縄っぽい。
ぶくぶくコーヒーで一息ついてからまた食べると、酸っぱ苦さが復活。カルダモンとは違う、過激にシュワシュワしない優しい爽快感。これはゴーヤーに由来するのだろうか。そして、ああ、辛さがちょうどいい。うう、病み付きになりそうだ。大盛にしなかったことを少し後悔した。

というわけで、ガツガツ食ってすぐに完食。腹具合は5分くらいだろうか。味は満足だったが値段がちと高い(並1,200円、大盛1,500円)。器は陶器で、落ち着いた印象。これは自分の中では結構高ポイントだった。
会計を済ませ、開店記念の泡盛焙煎珈琲のドリップバッグをいただいて店を出た。7階の広場のところでテレビの取材みたいなことをやっていた。