KATZLIN'S blog

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NHK「週刊日本の名峰」にがっかり2007-03-01 23:18

毎週、日本を代表する名峰の一つにスポットをあて、その雄大で美しい山容を余すところなくお伝えいたします。さらに、これまでNHKに蓄積された映像をふんだんに織り交ぜ、衛星画像を使用した3次元立体の「名峰3D地図」もパワーアップ!日本の山岳映像の永久保存版というにふさわしいシリーズをお届けします。

NHKの公式サイトにこんな売り文句があるこの番組。11月の本放送開始以来、見られない日には録画して(今のところは)欠かさず見ている。
がっ、しかし。夏に放送した、予告編ともいうべき4回シリーズを見ていやな予感がしていたのだが、その予感どおりにがっかりすることになってしまった。
これには、自分の場合は2つの要因がある。


まず、映像が使いまわしであること。
『大雪山』や『鷲羽岳』の回では2年くらい前に放送された「国立公園2泊3日トレッキングの旅」の映像が使われていた。『鷲羽岳』では見覚えのある黒部遡行の映像も多く、番組で案内役だった志水哲也氏が(後ろ姿や横顔ばかりだったけど)やたらと映っていたためか、エンドロールに「取材協力」としてクレジットされていた(大雪山の市根井孝悦氏の名前はなかった)。ほかに気づいたところでは、剱岳の回に「さわやか自然百景」の『北アルプス 剱岳』とそっくりなのがあった。

なにしろ見ていて全然統一感がない。いかにも継ぎはぎの寄せ集め映像な感じがしてしかたない。ひょっとしたら、このシリーズのための撮りおろしは空撮だけなのではないか。公式サイトの売り文句は、これまでNHKに蓄積された映像をふんだんに織り交ぜたとあるが、実際のところは「寄せ集めた」というのがより正確なのではないだろうか。
こういうのって、登山コースを紹介するのにはどうかと思う。天気はコロコロ変わるし、映っている人もコロコロ変わるから、同じ道を進んで行っているという感じがまるでしないのだ。

もうひとつは、番組のテーマが見えないこと。
かつての日本百名山シリーズには、「その山に思い入れのある人が、その山に登り、その山の魅力を語る」というスタイルがあった。人間味があってよかった。こんな山があるんだ、行ってみたいなあという気にさせられた。「さわやか自然百景」は、逆に人間を極力排して、景色や動植物をクローズアップしている。こんなところにこんな生き物がいるんだ、実物を見てみたいなあという気にさせられる。
しかしこの「週刊日本の名峰」シリーズは、見てもそんな感想を持てない。たしかに映像はきれいなんだけど、「ああきれいだな」で終わってしまう。ファッションモデルなんかに、顔はきれいだけどどんな顔だったか思い出せないような人がいたりするが、なんかそんな感じだ。
(たぶん)過去の映像を編集しただけだから、統一したテーマなんてないのだ。シリーズはおろか、ひとつの山をとっても、たとえば『鷲羽岳』や『北岳』では登山コースが2本紹介されていて散漫。「魅力を多面的に紹介する」といえば聞こえはいいが、焦点が定まらなくて冗長な印象しか残らない。

あと、がっかりとは違うのだけれど、気にくわないというか、違和感を覚えるところが、ひとつの山の範囲。
山の人気投票をやったりすると問題になるのが、どこまでをひとつの山とするか、ということだ。これが自分の感覚とマッチしないと「そりゃ違うだろ」となってしまう。だから雑誌なんかでこのテのことをする場合は、あらかじめ「○○岳は△△山に含みます」なんていう注意書きがあったりするのだが。

今まで放送された分でそれを激しく感じたのは、『大雪山』の最終目的地がトムラウシ山だったこと。そういや公式サイトの大雪山のフラッシュもトムラウシ山だ。
一般に「大雪山」というと、主峰の旭岳とお鉢平周辺の山を思い浮かべる人が多いと思う。トムラウシ山はその旭岳から普通の脚力で3日近くかかるほど距離があり、まったく別の山だ。たしかに大雪山系の山ではあるし、「表大雪」という概念では一緒にされることもある。だけどそれはひとつの山の名前ではなくて山域の概念だ。トムラウシ山は「大雪山系の山」ではあるけど、「大雪山」ではない。旭岳に行かずにトムラウシ山だけ登った場合は「大雪山に登った」とは言わないはずだ。

それなのに、番組ではトムラウシ山が大雪山の最終目的地なのである。旭岳にも登ってはいるが、あっさりと通過してしまって完全に脇役。旭岳を念頭において「大雪山」に投票した人は放送を見てがっかりしたのではないだろうか。旭岳周辺には裾合平や沼ノ平やお鉢周遊のような魅力的なコースがいっぱいあるのだから、そっちを紹介することだってできるはずだし、そのほうが自然だと思う。それに、そもそもトムラウシ山は、番組の投票では大雪山とは別に50位あたりにランクインしていた。
こんなことに引っかかってちゃあテレビを楽しめないということは重々承知しているのだが、大雪・トムラウシ双方とも大好きな山なだけに、十把一絡な扱いをされたのがどうにも気にくわないのだ。

と、文句を言いつつも、なんてったってハイビジョンの映像はきれいだし、たぶんこれからも毎週見続けるのだろうと思う。もちろん、大好きな大雪山や北岳は保存版DVDにしてあるわけで。
しかしそれにしても、結構大きくキャンペーンをうって始めたシリーズにしてはお粗末だなあという気がする。スタート時はタレントまで使ってちゃんと取材山行してたのに、それで予算がなくなっちゃったのかな、とか余計な邪推までしてしまう今日このごろ。


と、こんな投稿をした直後の、3月3日放送の鹿島槍はすばらしかった。自分が求めていたのはこういう放送だ。
剱をバックの稜線歩きは見ていてうずうずしてきた。たまらない。前々から行ってみたいと思っている山だったが、優先順位がかなり上がった。

溥儀 --清朝最後の皇帝(岩波新書)2007-03-03 11:51

昨年「東京裁判」を読んだとき、証言台に立った溥儀が気になって、伝記を読んでみたいと思っていたところ、この本を見付けた。


この本では溥儀の主に前半生が書かれていて、彼の「二面性」がテーマとなっている。
いつも誰かに媚びへつらいながら、目下とみると暴力的になる。威張りちらしているが、いつも怯えている。スネ夫とジャイアンとのび太のそれぞれ悪いところばかりを足したようなイメージだ。

溥儀というと、自分の場合はジョン・ローンが演じた映画「ラスト・エンペラー」での姿を思い浮かべてしまう。映画の中でも特に印象に残っているのが、戦犯収容所で、小便をするとき便器を汚してしまって周囲にどやされビクビクしているところ。臆病者で小心者で見栄っぱりで、小水が撥ねないようにする用の足し方すら知らないほど浮世離れした人間。
この本でみた溥儀はまさにそんな人物だった。映画や「東京裁判」での印象がより強固になった。日中戦争-太平洋戦争において彼が果たした役割なんかも知りたいところだが、これはあくまでも伝記。そういうのは別の本を読めばいい。

なかなかおもしろかったが、それにしても読みにくい文章だった。何度か読み返さないと代名詞や指示代名詞の示す対象がわからないことがあったり。たとえば236頁の次のような文章。

これらの資料調査、取材のために約四半世紀を費したことになるが、その過程で、私は『我が前半生』のゴーストライターをつとめた李文達さんから二度にわたって率直に当時の裏話をうかがう機会をえた。
そのことが、今回溥儀と正面から取り組むうえでの原動力になったといっていい。はすでに鬼籍に入られたが、李文達さんが目にすることのできなかった日本側の資料によって溥儀をとりまく時代の状況をより確かにし、定説となっているその像に、もう一度息を吹きこんでみたいという思いもある。
この2番目のパラグラフの『彼』は、最初『溥儀』を指すのかと思った。しかし敬語が使われているので違うっぽい。どうやら『李文達さん』を指すようだ。しかしそのすぐあとに『李文達さん』がまた出てくる。あれっと思い、ふたたび読み返す。やっぱり『李文達さん』みたいだな、と思う。しかしすぐあとの『李文達さん』が気になる。もしこの『彼』が『李文達さん』なら、すぐあとの『李文達さん』も『彼』で統一すべきだ。それをわざわざこう書いているってことは別人だからだ。みたび読み返すが、やっぱりわからない。おそらく『李文達さん』に違いないが、どうにもしっくりこない・・・。

とまあ、こんなことを繰り返すので、読み進むのにちょっと時間がかかる。
『汚点を挽回』なんていう言葉も気になったし、表現以外にも、伝記なのに時間がやたらと前後したり、溥儀の視点で話が進んでいるのに突然筆者が乱入してきたりと気になるところが満載。肩書は「作家」なのに、これはちょっとあんまりだ。

内容じたいは自分の求めていたものに近かっただけに、もっと読みやすい文章だったら、とちょっと残念に思った。

(入江曜子著・2006年)(2007年3月1日読了)

無線LANカード WLI-CB-G54 を Linux で使う2007-03-08 23:25

相棒のために軽いモバイルノートPCを新調(といっても中古だけど)したので、それまで彼女が使っていたノートPCが浮いた。いずれは家庭内サーバにでもしようと思っているが、それまでの間にいろんな Linux ディストリビューションをインストールして遊んでみようと思い立った。
で、ただインストールするだけじゃつまらないので、無線LANカードの認識に挑戦してみることにした。

PCのスペックは以下のとおり。

  • 名前:NEC LaVie LL500/2
  • CPU:AMD Duron 896.94MHz
  • RAM:384MB(増設ずみ)
  • HDD:30GB
特徴としては、とにかく重いこと。動作もそうだけど、物理的に重い。据置きならともかく、室内を持ち運ぶのも女性にとっては辛い重さ(だから軽いやつを探していたのだ)。あと、やたらファンがまわりまくる。「なにしろ重くてうるさい」という印象のPCだ。

無線LANカードは、3年くらい前に買ったメルコの WLI-CB-G54。bcm4306 というチップを使っている。Linux 用ドライバはなく、したがって ndiswrapper で Windows 用ドライバを読み込んで使うということになる(という認識でいたが、後述のとおり、そんなことしなくてもいいディストロもでてきた。(よくよくBroadcom 43xxを見たら、カーネル 2.6.17-rc2 以降はドライバが組み込まれてると書いてあった。))。
なお、このカードはもう廃番になっている。型番からみると G54L とか G54S とかいうのが後継機種っぽいが、同じようにして動くのかどうかはしらない。


まずは vine4.0。カーネルは2.6.16だった。
ndiswrapper はデフォルトで入ってるバージョンじゃなくて 1.10 にした。ほかに bcm43xx-fwcutter と、lha をインストール。
ドライバは http://buffalo.jp/php/ldl.php?to=lan/wdrv_830.exe をダウンロード。vista に対応した最新版(9.00)だと bcmwl5.sys が入ってないので不可。この wdrv_830.exe のあるディレクトリに入って、
$ lha x wdrv_830.exe
でwindowsドライバを解凍。
$ cd wdrv_830/cbg54/win2000/
ここに bcmwl5.sys と netcbg54.inf がある。
$ bcm43xx-fwcutter bcmwl5.sys
するとファームウェアがずらずら解凍される。
これを
# cp *.fw /lib/firmware/
でごっそりコピー。もちろん mv でもいい。
# ndiswrapper -i netcbg54.inf
# modprobe ndiswrapper
# /etc/init.d/network restart
でカードのランプが光って動いた。WEP キーなどを設定したら接続も O.K.

続いて SUSE10.2。こちらはカーネル 2.6.18。
ndiswrapper 1.10 を入れようとするも入らない。bcm43xx-fwcutter も入らない。コンパイラがないせいだ。
インストールDVDから gcc と、automake も入れてからコンパイルし、インストール成功。
vine と同様に
$ bcm43xx-fwcutter bcmwl5.sys
# cp *.fw /lib/firmware/
をし、ひきつづき ndiswrapper を入れようとするがダメ。カーネルソースがないとか言ってるので、またまたインストールDVDからインストール。
そこでふと思いつき、DVD に ndiswrapper が入ってないか見てみたら、なんと入ってた。バージョンは1.25。で、早速インストール。
インストール後、コンソールから # ndiswrapper -i ・・・とやろうと思ったが、ndiswrapper なんてものはありませんとか言われる。
えー、インストール失敗かなあと、しばし悩む。
・・・と、ふと見るとカードのパワーランプが光ってる。ifconfig してみたらちゃんと動いてた。なんか拍子抜けした。
画面右下(自分はKDEを使用)のへんな穴ぼこのアイコンが無線LANのマネージャで、こいつでWEPキーとかを設定したらつながっちゃった。つながると穴ぼこは棒グラフに変わった。
余談だが、SUSEはデフォルトだとLANの設定がこのKNetworkManagerになってしまい、コンソールからのifup、ifdownが効かない。suになっても叱られてしまう。

次は Mandriva2007.0。これはカーネル 2.6.17 だった。
手順は SUSE とまるっきり一緒。あっさり動いた。
SUSE は KDE で動かしていたらこの PC ではちょっともっさりしていたが、Mandriva はわりとサクサク動いた。デスクトップのデフォルトの見た目も、SUSE と違ってへんに Windows っぽいところがなくて気に入った。

雑誌の付録についてた momonga linux 3。カーネル 2.6.17。
インストールに4時間もかかった。アプリを全選択したせいかもしれない。なんにしても、「残り95分」と表示されてから3時間かかったのでいらいらした。パーティション構成をおまかせでインストールしたら、いきなり /(root) が lvm でびっくらこいた。
さて、ndiswrapper を make install したらカーネルのコンパイルが必要というワーニングが出て ndiswrapper が入らない。インストールに4時間もかかるんだから、カーネルのコンパイルなんていったい何日かかるか知れたもんじゃない。さすがにそれは面倒なのであっさり断念した。

最後に ubuntu でもやってみた。6.10(edgy) はカーネル 2.6.17。
$ dmesg |grep bcm
してみたら、bcm43xx: Error: Microcode "bcm43xx_microcode4.fw" とか書いてある。ファームウェアがないってことだ。これなら bcm43xx-fwcutter の作業をするだけで動くと予想。
で、早速 make してみるとエラーメッセージの大洪水。ちょっとびっくりした。数分考えた後、ubuntu にはコンパイラがインストールされていないことを思い出した。インストールメディアは SUSE と違って CD なので、ネットにつながないとコンパイラのインストールができない。
内蔵の eth0 は動いているので有線でインストールすることにする。が、またまた例によってカーネルソースがないという。カーネルソースは40MBもあるのでメンドくさい(ウチの環境では20分もかかるという表示が)。諦めかけたが、メインPC(kubuntu6.10)の方で apt-cache で見てみたら、ちゃんと bcm43xx-fwcutter があった!!
bcm43xx-fwcutter は universe のリポジトリなので
$ sudo vi /etc/apt/sources.list(vi はもちろん nano でもなんでも可)
で、universe のとこのコメントアウトをはずし、
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install bcm43xx-fwcutter
であっという間にインストールできた。あとは定石どおりに、ドライバのあるディレクトリに行って、
$ bcm43xx-fwcutter bcmwl5.sys
$ sudo cp *.fw /lib/firmware/2.6.17-10-generic/ ←ここは上述のディストロと違う
$ sudo /etc/init.d/networking restart ←ここもちょっと違う
でちゃんと動いた。

まだほかにも Asianux とか CentOS とかもダウンロードしてあるのだけど、いい加減飽きたのでここで終了。