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特別展 花 FLOWER ~太古の花から青いバラまで~2007-06-10 21:45

チケット
「人はどうして、花をきれいだと思うんだろう」というコピーが印象的なこの博物展。なんとなく面白そうで、お金を払って見てもいいかなと思ってはいたものの、さほど興味のない分野の入場料1,300円はちょっと高すぎて二の足を踏んでいたところだった。ところが運良く招待券をゲットできたので、国立科学博物館に行ってきた。

科学博物館はほかの上野の博物館・美術館より一足早く9時に開館する。8:50に門前に到着したときは人がいなくて、9時の時点で20人くらいの列だった。科学博物館だと子どもの観覧客が圧倒的に多いと思うのだが(子どもは入場無料だし)、まだ朝早いせいか、子ども連れはさすがに少なかった。


メインは地下2階の第一会場で、プロローグと、9つのゾーンで構成されていた。9つのゾーンは2つの大きな「章」に分かれ、zone1から6までが第1章「花の誕生とその進化」ということで、科学・博物誌的な内容。第2章は「花と人とのかかわり」で、zone7 の研究史はともかく、zone8「花をつくる」は園芸品種、zone9「花おりおり」は生け花などの展示と、科学博物館でやる内容としてはちょっとピンとこない感じがした。
地下1階にあがった第二会場ではリンネの業績が紹介されていた。

入場するといきなり「ジャスミンの香りでお出迎えしています」とかなんとか。香りじたいはよいのだが、これは濃厚すぎる。ほのかに匂う程度ならいいのだが、自分は鼻が敏感な方なのでこれはもうキツくてたまらん。デパートの化粧品売り場なみの臭さだ。まあ香りは感覚的なものだから、自分にとっては悪臭でも他の大部分の人たちは「いい香り」と感じとっているのかもしれない。

最初のエリア「花のしくみ」で、白い花には白の色素は含まれていないのだとか、「ダーウィンの蘭」アングレクムの話とかにヘェーヘェーしつつ奥へ進む。匂いのサンプルもたくさんあったので恐る恐る嗅いでみたが、やはりどれもキツかった。唯一クチナシの花だけが心地よく感じた。

次の映像コーナーはあとで見ることにして「世界の花」へ。世界一大きい花とか、世界一背の高い花とか。これらの世界一シリーズの植物はどれもグロかった。また乾燥地帯のような厳しい環境に暮らす花などが、ジオラマで展示されていた。お、「星の王子様」に出てくるバオバブの木ってのは、サン・テグジュペリの創作だと思っていたら、実在の植物だったのか(展示は模型だったが)。知らなかった・・・
コーナーでは模型と生花が混在していたが、同じ花でも総じて模型の方がハデに見えた。
で、このコーナーの一番奥に高山植物があった。

高山植物コーナーは山で見ていて馴染み深い花が多くてやはり落ち着く。ハクサンチドリはもう枯れてしまっていたが、エーデルワイスは盛りだった。エーデルワイスは初めて見たが、確かにハヤチネウスユキソウによく似ているように思った。でも、これならハヤチネウスユキソウの方がきれいかな。こんな鉢植えで展示されているせいかもしれない。やっぱり山で野性の姿で見てこそ本当だと思った。

さて、この高山植物のジオラマに、お目当てのヒマラヤの青いケシがあった。
ヒマラヤの青いケシ 高山植物コーナーの花
開ききっていてもう終わりかけの株もあったが、いくつか生きのいいのが残っていた。この形で、この色の花は見たことがない。山道を歩いていてこんな花に突然出くわしたらそりゃすごい感動だろうなあ。

通路のような位置に配置されて疎外感が漂う花の研究史のコーナーを過ぎると青いバラが。第一会場内は写真撮影可だが、流れている映像とこの青いバラは不可。バラの前にはちゃんと番人もいて、がっちり管理している感じが窺えた(チラシや公式サイトで使われている写真にも、サントリーの著作権表示が必ず入っている)。自分は高山植物のような野草が好みなので、こういう「作られた感」満々の花はスルー。
園芸植物コーナー
そのあとも園芸種やら生け花やらフラワーアレンジメントやらが続いた。科学博物館の展示というよりは、国際展示場とかでやってる展示即売会みたいだ。日本人と花の関係なんていうのも源氏物語とからめたりしていて興味深かったけど、なんか歴史博物館みたいなとこでやってそうな内容。そういや昔東博でも「花展」とかいうのやってたような、と思って調べてみたら1995年にやってた。

見終えて、なんとなくとりとめのない展示だったという感想を持った。おそらく後半の、展示即売会まがいのコーナーが長すぎたからだろうと思う。最後の第二会場のリンネの事績なんてこじつけみたいなもんだ。まあ、きれいだったし、タダだったからよかったけど。もしこれに1,300円払っていたら自分は激怒していたことだろう。フラワーアレンジメントとかガーデニングとかが好きな人はまた別の見方があるだろうと思う。
そういえば、人はどうして、花をきれいだと思うんだろう。結局その答えはわからなかった。(国立科学博物館・2007年6月9日観覧)

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