KATZLIN'S blog

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神社の系譜 なぜそこにあるのか(光文社新書)2007-12-09 17:44

新たに新書を買って読むのは半年ぶりくらいだ。
本屋でふと気になってぱらぱらとめくってみたら、神社の配置の見取図みたいなのがいっぱい載っていたので思わず買ってしまったのだ。城の縄張りなんかが好きな自分は、一も二もなく飛びついてしまった。


この本は、自然暦の視点から神社の系譜について考える、という本だ。「自然暦」といってもピンと来ないが、自然の動きによって季節の変化を感じとる暦というところか。
「まえがき」には、古代人が、こうした太陽の動きを、神の宿る「神社」の配置に応用したのがいわゆる「自然暦」であるとある(4頁)。つまり、この本では太陽の動きと方角に限定した暦になっている。・・・ん? つうか、これって「こよみ」とは違うんじゃないの?

と、のっけから疑問が吹き出すのだったが、神社が方位や日の出・日没の方向によって配置されている例が日本全国に見られるという見方じたいはおもしろい。
中でも、出雲大社や豊国神社の項はおもしろく読めた。鹿島神宮から日御碕を通って韓国の慶州に連なる線は壮大で、歴史上の解釈にも符合するというのは興味深い。読んでいて、それほど長大な線を測量する技術が古代にあったのかと疑問を持ったので、Google Earth で飛んでみたら、さすがにずれてはいたものの結構いい線いってたので感心した。まあ、こじつけにすぎない、という穿った見方もできるのだが。
また、豊臣氏の滅亡後、家康が豊国神社の東西線を分断するために智積院を配置したというのもおもしろかった。

ただ、最初のうちはいちいち「おおー」と感心しながら読んでいたが、だんだん食傷気味になってきて「だからなんなの」と思うようになってしまった。
それは、社寺の配置と方角の関連が、豊国神社のようにはっきりと示されている例が少ないからだろう。ただ単に、○○神社から見て夏至の日の出の方向に△△神社があります、という事柄の報告になってしまっているのだ。で、だからなんなの、となってしまうのである。
このへんは佐々木昇さんの「読書日記」と同じ感想を持った。不完全燃焼だ。着想がユニークなだけに、残念に思った。

あと、文中で、平将門だけ「公」付けなのが気になってしょうがなかった。作者は将門を尊敬しているのか、あるいは祟りでも恐れているのだろうか?

(宮元健次著・2006年)(2007年11月29日読了)

「別ウィンドウで開く」のをやめることにした。2007-12-29 16:57

本サイトでは、リンク先が外部の場合、別ウィンドウで開くようにしてある。この方が自サイトと外部サイトの区別がはっきりわかるからよい、と自分では思っていたのだ。
が、いまさらながら、これが自分の思い込みだということに気付いた。


小学3年生の甥がウチに遊びにきたときインターネットで遊んでいるのを見ていたところ、勝手にウィンドウが増えて(移って)しまうと、前のページに戻れないという状態に陥るのを目撃した。「戻る」ボタンで戻れないから迷ってしまうのだ。これを見て、インターネットの初心者にとって、新しいウィンドウが開くかどうかということはほとんど意識にないのだ、ということに思い至った。目からウロコが落ちたような気がした。
ウェブ・アクセシビリティの標準でも、リンク先を別のウィンドウで開くかどうかは閲覧者の選択にまかせるべきであるという考え方で、リンクは同一ウィンドウに開くことがよいとされている。もちろん、ウチの甥っ子はリンクの開き方を選択することなどできないが、初心者であればなおのこと、ひとつのウィンドウで連続してページを閲覧したほうが、流れは理解しやすいに違いない。

しかしやはり、別窓で開く方がいいのだという意見も存在する。

  • 外部サイトは別窓で開くものという暗黙の了解となっているので、同一ウィンドウだとうっかり閉じてしまうことがある。
  • 同一ウィンドウだと、外部サイトをひととおり見終わって元のサイトに戻るときに「戻る」ボタン連打が面倒
というのが主な理由のようだ。なるほど。これももっともだ。
ただ「暗黙の了解」は初心者は知らないのだから、ウチの甥っ子のような状況に陥ってしまうわけで。
それに、これらはブラウザに IE を使っている弊害だろうと思う。Opera や Sleipnir、Firefox なら、うっかり閉じてしまった画面をすぐ復活させることができるし、リンク先を別窓で開いたりするのもクリック一発でできるので、上述の理由はまったく問題にならない。でも、買ったままの Windows PC についている IE を使うのが普通の人なわけで。

それはさておき、どちらの流派(?)も満足させる解決法としては、リンク先は同一ウィンドウにして「ここから先は外部のサイトです」ということをアイコンなどで明示するのが一番よいのだろう。Wikipedia で使われている方法だ。初心者は「戻る」ボタンで戻れるし、エキスパートなら外部サイトであることを認識して、状況に応じて自分で別ウィンドウを開いたりするはずだ。

外部リンクを示すアイコンを表示するにはスタイルシートを使うのがいいのだが、IE 対策がネックだ。
CSS の after とか before の擬似要素でやるのが理想だが、例によって IE がこれに対応していない。しょうがないからバックグラウンドにアイコン画像を指定(リンク部分の背景とする)しようとしたら、これまた IE に、途中で改行が入ると表示がヘンになるというバグがある・・・
しかもこれらの欠陥は、驚いたことに IE6 から 7 になっても解消されずに引き継がれているらしい。なんとひどいことだろう。それでもシェアが圧倒的に一番だってんだから無視できない。ウェブサイトの作り手にとっては実に迷惑なブラウザだ。

こうなると javascript の出番だが、探してみると LogJET という blog の「新しいウインドウを開くべき?」というエントリにたいそう便利なスクリプトが公開されていた。
こっ、これは素晴らしい。IE の問題も見事に回避されている。思わず飛びつきそうになったが、マック版 safari でバグがあるらしい。こちらを立てればあちらが立たず。ユーザ数から言えば IE を優先するという選択肢もありだが、ウチのサイトの場合 Safari は、IE・Firefox の次にアクセスが多いブラウザなので無視できない。それに自分のような javascript を切っているユーザには効果がない。

といろいろ検討した結果、CSS でバックグラウンド指定する方式なら、IE にバグはあるけれども途中改行さえなければちゃんと表示されるし、Wikipedia もそうしているから、これをマネすることに決めた。修正は正月休みにちまちまとやることにしよう。

(修正が終わった。スタイルは Max Design のものをちょっとだけアレンジして使った。これ、hover でアイコンの色が変わるのがおもしろい。)