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算数再入門(中公新書)2008-07-22 23:11

就職して数年たった頃、ふと思いついて大学受験のときの代数の参考書を解いてみたことがある。脳みその普段使っていないところを使うためなのか、とても疲れたことを覚えている。それは決して嫌な感じではなく、心地よい疲労感というべきものだった。
で、そんな経験をもう一度できるのかなあという軽い気持ちでこの本を買ってみた。


本屋でちょっとぱらぱらとめくってみた感じだと数字にまつわるエピソードみたいなのが載っていそうで、『博士の愛した数式』にでてくるようなウンチク話中心なのかと思ったのだが、そうではなく、小学生に対する算数の教え方の本で、まさに算数再入門だった。
学生時代、家庭教師のアルバイトをしていた友人たちが口を揃えて、小学生に対して算数の説明をするのにxが使えないのがとても不便だ、と言っていたものだが、この本を読むとどのように教えたらよいのかがよくわかる。小学校の教師を目指す学生や、小学生の子どもに質問攻めにあっている親にはよき参考書となるだろう。

ただ、自分は小学生の頃そろばんを習っていたので繰り上がりとか繰り下がりでつっかえたことがないし、3桁までなら暗算ができたので、算数で困ったことがない。だからこの本で「再入門」する内容も、どうも七面倒でしかたなかった。
だから、本文の合間に入るコラムで紹介される小学生の意外な発想に驚いたりする程度の感想となってしまった。ただ、小学生に対する指導のしかたとして、問題の解き方などのテクニック面はもちろん、子どもの一見突拍子もない話を頭ごなしに否定するのではなく、それをきちんと理解して褒めたりすることで子どもの能力とかやる気を引き出していくという作者の姿勢には感動を覚えたのだった。

(中山理著・2008年)(2008年7月10日読了)

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