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石田徹也 --僕たちの自画像-- 展2008-12-29 23:36

石田徹也展チケット
石田徹也という画家を知ったのはテレビ東京の番組『美の巨人たち』で、ことし4月のこと。それ以来気になっていたのだが、なんと彼の回顧展が開かれているということを知り、練馬区立美術館まで出かけた。


美術館は西武線の中村橋というところにある。相模国で暮らしてきた自分には池袋より向こうの東京がサッパリわからず(板橋と豊島と練馬がどうもごっちゃになっているみたいだ)、西武線に乗るのも生まれて初めてでまったく土地勘がなかったが、美術館は駅の近くで道標もあって迷わず行けた。
空いてるだろうと思ったらまあまあの混雑ぶりだった。客層は上野あたりの大規模展覧会とは違って美術ファンっぽい人が多くて、落ち着いて鑑賞することができた。

石田徹也展ちらし
チケットにも使われ、前述の『美の巨人たち』で「今日の1枚」としてとりあげられていた「飛べなくなった人」と、ちらしにあしらわている「社長の傘の下」は大のお気に入りだ。どことなく不安気で、どことなくユーモラスでもある。牛丼屋のカウンターに並んだ客がガソリンスタンドの給油ノズルを口に突っ込まれている「燃料補給のような食事」のようなあからさまな諷刺ものよりも、こういう、少し呑気さが感じられるほうが落ち着いて観ていられる。

石田徹也の活動期間は10年ほどで、作品はほぼ年代順に展示されていたのだが、自分は前述の『美の巨人たち』でその生涯を知ってしまっていたために、先に進むにしたがって重苦しさを感じるようになった。死が近づくにつれて、暗く不安なイメージの絵が増えてくる。彼は踏切事故で死んだのだが、これらの作品を見てしまうと、「踏切事故」とは、つまり、まあ、そういうことだと思わざるを得ない。

図録は1,500円だったが装丁がイマイチ気に入らなかったので、画集の「石田徹也遺作集」を買った。あと「飛べなくなった人」の絵はがきを買った。これは所蔵している静岡県立美術館のものだった。
中村橋駅近くのサグーンなるネパール料理屋でカレーのセットを食べ(羊カレーが美味かった!)、池袋で話題のねんりん家でバウムクーヘンを買って帰った。
(練馬区立美術館、2008年12月23日)

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