KATZLIN'S blog

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茶人 畠山即翁の美の世界2011-12-01 00:17

茶碗のような焼物には前から興味はあったのだが、BSアニメ『へうげもの』を見始めてから茶道具全般に興味がわいてきた。畠山記念館に、関連番組の『へうげもの名品名席』で紹介された楽茶碗「早船」が出ているので、散歩がてら、見に行ってきた。


畠山記念館は、荏原製作所の創業者である畠山即翁が生前蒐集した日本美術を展示している。年に4回展示替えをしているようだ。この日は秋季展の期間だった。題して「茶人 畠山即翁の美の世界」。
最寄り駅は都営地下鉄の高輪台だが、五反田駅から歩いて行った。駅前の広い坂は相生坂といい、この下を地下鉄が通っている。歩きやすかったが、元々は急峻な坂道だったそうな。高輪台駅から先はちょっと道が分かりにくかったが、ある程度目星をつけておけば、あとは電信柱に付いている案内が頼りになるだろう。
入館はスリッパ履き替えなので、脱ぎにくい靴を履いていくとほんのちょっと面倒かもしれない。
畠山記念館

赤楽茶碗 銘「早船」
実物は、『名品名席』で見るより美しい。思っていたより小ぶりだった。なんと言っても山にかかる稲妻がよい。この補修の跡があるとないとでは大違いだろう。この茶碗を蒲生氏郷と細川忠興が争って求めたという話だが、その時代にはこの稲妻はあっただろうか。
利休直筆の添え書きも展示されていた。「古織」の字も見える。『名品名席』では氏郷と忠興の争いで、織部は関係なさそうな感じだったが・・・ 帰宅後、ネットの海をさまよってみると、興味深い論文があった。宮本武蔵に関する研究だが、添え書きの画像があるうえ、書き下し文に現代語訳まである。これを見ると、『名品名席』の解説は言葉足らずであることがわかる。まあ、放送時間も短いし、しょうがないとは思うけど。
伊賀花入 銘「からたち」
重文。パンフレットの表にあしらわれるなど、美術館の一推しアイテム。この花入は加賀では有名なものだったらしく、即翁に買われると加賀を離れることになるので批判を浴びたとか。それを即翁が金沢出身だからO.K.という強引な理由で決着。いざ移送という日も、金沢駅に見送りの人が詰め掛け、上野では畠山家の人が正装で「お出迎え」したとか。とかくエピソードには欠かない。
古瀬戸肩衝茶入 銘「円乗坊」
本能寺の変をくぐり抜けた名器とな。なんとも言えない美しい形だ。

記念館を出てから品川方面へ散歩。『タモリのTOKYO坂道美学入門』で知った高輪消防署二本榎分署が見えてきた。
消防署全景
レトロでいい。しげしげと眺めていると、入口の張り紙の下の方に「見学希望者は受付に・・・」の文字が。えっ、中を見せてくれるの。恐る恐る入るとすぐ受付があった。受付氏はすでに我々を察知していたらしく、「見学ですよね」と向こうから声をかけてもらえた。

内部見学は署員の案内つき。現役の公署でもあるし、へたなところに入られたり、怪我でもされたりするとマズイのだろう。しかも記念絵ハガキ付きである。それでももちろん、タダなのだ。
2階の踊り場を眺めてから3階へ。階段の手すりのシックながらも冷徹な印象の素材は、赤大理石とコンクリを混ぜ合わせたもので、それをピカピカに磨き出したものとのこと。円筒型の3階はかつての講堂で、現在はささやかな資料室となっており、古い消防用具などが置いてあった。それからバルコニーに出て望楼を見上げた。いい雰囲気だ。完成した頃は周囲に高い建物はなく、東京湾まで見渡せたとか。
手すり 3階の中 望楼
最後は駐車場に降りて、消防署のイメージのあのすべり棒を見たり、停めてある消防車両を見たり。東京消防庁にも9台しかないというキッチン車両は中も見せてもらえた。なかなかない、よい体験だった。
すべり棒

桂坂を下りたあと、特に行くあてもないので、今度は高輪プリンスまでまた坂を登って旧宮家の邸宅だった貴賓館を眺めてからラウンジでケーキを食べたりしてのんびりしたあと、品川駅へ。途中ウィング高輪に秋田県のアンテナショップがあったので寄ってみると、「アンテナショップスイーツNo.1決定戦 ASS-1グランプリ」で1位をとったという「まち子姉さんのごま餅」なるものがあったので買って帰った。
貴賓館
(畠山記念館・2011年11月26日観覧)