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NHK大河ドラマ50年 特別展『平清盛』2012-01-24 00:20

「平家納経」がやってくるというので、雨予報の土曜日、江戸東京博物館へ出かけた。


前日には東京・横浜が初雪を記録し、この日もその余波でむちゃくちゃ寒かった。両国駅に着いた頃、ちょっとの間だけ、雨は雪に変わったりした。会場には10分前の9:20に着いた。江戸東京博物館はロビーが広くて、早く着いてもゆったりと待てるのはいいところだ。
まだ朝早いせいか、はたまたこの寒さと悪天のせいか、それとも王子駅付近の火災で京浜東北線が止まっているせいか、なんだかわからないがとにかく空いていた。

それでも会場入口周辺は例によって人が多かったので、とにかく奥へと突き進んだ。なにしろ、この展覧会では、平家納経にしか興味がないのだ。

平家納経 清盛願文
No.103。他の巻の見返し絵とちょっと趣きが違うと思ったら、これは俵屋宗達の修復によるものなんだとか。結構な違和感を覚えるけど、料紙はやっぱりきれいだ。
平家納経 法華経信解品第四
No.106。見返し絵は蓮の花。見返しは全体に銀で、本文部分の料紙が金がかっている。美しい。
平家納経 法華経法師功徳品第十九
No.112。展示品の上に拡大写真があるのだが、それでようやく見返し絵に仏が描かれているのがわかった。金がふんだんに使われていて豪華だ。
平家納経 法華経陀羅尼品第二十六
No.115。発装金具のこまっかい細工が凄い。本紙部分にも金ででっかく朝日だか夕日だかが描いてある。今回出品されている3巻の中では一番素晴らしいと思った。
古神宝類 檜扇
No.140。うっすい檜の皮でできた扇。すげーなあと思って単眼鏡でしげしげと見ていたら、小さい人物にもちゃんと目が描いてあるのがわかった。梅かなんかのような花のニュアンスがリアルだ。
そのへんに置いてあった図録を見たら、どうやらこの扇は何種類かあるらしく、巡回展の他の会場では他のが出品されそうな感じだった。
法華経(久能寺経)(鉄舟寺蔵)
No.169。平家納経と同様・同時代の装飾経で、こちらは鳥羽院を中心とした宮廷の人々によるもの。金泥の草が、何とも言えない優美さだった。意外な良品に出会えて嬉しかった。

他の展示物はほとんど見ないで、平家納経だけを見て過ごした。1時間くらいするとだんだん混んできたので退散することにした。
江戸東京博物館は何度か来ているが、ここはいつも東京見物の団体客が多くて、フツーの美術展とはまったく雰囲気が違う。うるさいし、タバコ臭かったり酒臭かったりするし、なにしろ団体客は美術になんか関心ないのだ。そんなわけではっきり言って鑑賞環境は悪い。さらに今回はそれに加えて、歴史解説らしきイメージ映像が会場でエンドレスで流れていて、しかもそれが寄りによって平家納経コーナーだったので、もう最悪。カナル型イヤホンを耳の奥の方に突っ込んで音楽を聴き、それらの騒音をなんとか掻き消した。iPodからランダムで再生されたのはコルトレーンのバラードで、優しいサックスの響きが平家納経によくマッチした。
「平氏ニュース」とかなんとかいう、新聞体の解説なんかあったりするところからして、やはり美術品の展示館というよりはエンタメ系博物館のような施設なんだろう。まあそう思えば納得できなくもないんだけど、でもなにもこれほどの佳品をそんなへんてこなところで見せなくたっていいのに、とかいう気もしたのだった。だって、こんなんじゃ、落ち着いてじっくり味わえないじゃない。

気に入った陀羅尼品は絵葉書になかった。檜扇のはあったが恐ろしくセンスのない写真だった(扇子だけに)。しかたないので願文と法師功徳品の絵葉書を買って会場を出た。
腹が減ったので、最上階の7階にある桜茶寮という店に入って早めの昼食をとった。平清盛展とタイアップの広島産牡蠣めしはなかなかだったが、その前に飲んだごぼうビールがとてもよかった。ごぼうの香りがする不思議なビールは、飲むとその成分のせいかほんのりと甘みを感じる。
ごぼうビール
いい気分になって博物館を出て、新宿で買い物をしてから帰った。
(江戸東京博物館・2012年1月21日観覧)

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