KATZLIN'S blog

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慈光寺 --国宝法華経一品経を守り伝える古刹2015-11-10 22:21

慈光寺展
埼玉県にある慈光寺の国宝一品経が、修理完了記念とかで全33巻が一挙公開されるという。これは大チャンスでぜひ見てみたいが、慈光寺とか遠そうだしどうしようとか思っていたら、大宮にある埼玉県立歴史と民俗の博物館での展示だとか。大宮なら日帰りでじゅうぶん行ける。
展示は前後期で半分ずつという。前後期とも観るのが最良だが、どうしたものか。後期にだけ行って「あー前期も見ておけばよかった」となるよりはと、まずは前期に行くことにした。


家から大宮までは電車を乗り継いで2時間くらいかかる。開館はなんと朝9時だが、いくらなんでもそれは早すぎる。上野とかの大展覧会と違ってそんなに混んでないだろうと、家を8時に出て10時くらいの到着を目指した。大宮で東武野田線に乗り換え、大宮公園なる駅で降りた。大宮公園駅は、大宮駅からわずか2駅なのに、見るからに地方の駅といった雰囲気の閑散とした小駅だった。博物館へは案内看板があって道の心配はなかった。そば屋の角を曲がり、ラブホの前を通って公園の隅っこにある博物館に着いた。

いかにも70年代ころの公立の建物っぽい博物館は(前川國男設計だと後から知って、なるほど、と思った)、異様に静まりかえっていた。そう、がらっがらなのだ。ほどほどの広さの展示室には観覧客は10人もいなかった。

修理を終えた装飾経は美しかった。先頭は序品で、金の料紙に金泥で経文が書いてあった。
特に気に入ったのは序品のほか、シックな色合いに派手な金泥の勧持品。あと、行と行の境界線が二重になってたりする提婆達多品。このデザインは今風で斬新な印象を受けた。
いくつかの巻が失われたのは残念だが、江戸時代に田安家が追補したとかで、そういった巻は見返しがただの金箔になっていた。後期に展示予定の巻は廊下にパネルで掲示されており、楽しみではある。

常設展ではなんと岩佐又兵衛が描いた三十六歌仙額絵(重文)が展示されていた。この絵が奉納されている拝殿は通常は閉めきっているからか、保存状態が素晴らしかった。またそのため、普段滅多にお目にかかれない代物なのではないかとも思った。36枚を12枚ずつ3回に分けての展示。この日は中期の12枚だった。
岩佐又兵衛を意識して見るようになったのは漫画「へうげもの」を読んでからだが、やっぱり奴は天才だ。輪郭線がくっきりとしているのが現代の漫画にも通じるような気がする。これ見ると、へうげものの作品中の又兵衛の絵が本物を踏まえて描かれていることがよくわかった。
他の展示もなかなかのボリュームだったが、展示品のほっとんどが複製品だったのはいただけない。そんな中で、縄文時代の埼玉に海があったことを知ったのは大収穫だった。

思わず図録を買ってしまった。なんだかんだで博物館を出たのは12時過ぎ。え、2時間もいたのか。

天ぷら蕎麦
往きに通った角のそば屋「あざみ」で埼玉の酒「神亀」をちょい呑みしつつ蕎麦を食ったあと(旨かった)、ぶらぶら歩いて鉄道博物館に行った。

鉄道博物館は一度は行ってみたかったところ。0系新幹線以外にも、ゴッパチやらロクロクがあって懐かしかった。実家が東海道線沿いで、近所の子供たちは、こういった電気機関車(が牽いていた貨物列車)を眺めていたものだ。手を振って、運転手に振り返してもらうとそれはそれは嬉しかった。
ロクロク
ランチトレインにはディスカバージャパンの頃のキャンペーン広告が貼られていて、鎌倉の旅の広告が「冷房車が走っています」というのが新鮮だった。ここにも結局17時半までいて、新宿で食事をしてから帰宅したのは23時近くになってしまった。
(埼玉県立歴史と民俗の博物館・2015年10月24日観覧)