KATZLIN'S blog

Contents

OLたちの<レジスタンス> (中公新書)2004-12-16 00:18

60人の男女からの聞き取りをメインデータに、職場での男女の関係について書かれた本。聞き取り対象の抽出は完全無作為ではないが、それでもいろいろな声があっておもしろかった。

この本のキモは、OLは、単なる事務職であることにともなう自由と、その自由によって可能となるさまざまな「遊び」を楽しんでいるのだから、差別に真っ向から戦いを挑む必要がないということだ(31頁)。OLには企業内での権力も出世の希望もないが、逆にそのことによって、得られる自由は大きい。社内の噂話や、バレンタイン遊びなどなど。


しかし、OLたちはジェンダーを武器に優位を形成しようとすればするほど、ジェンダーの深みにはまってしまう。筆者はこれを「ジェンダーの落とし穴」と呼ぶ(176頁)。自分の弱さを武器にすることが、性差別を正当化する根拠となってしまうというのだ。
この説をいくつもの事例によって証明していく。女性側からだけの視点ではなく、男性の証言もあるのがその説を強化していると思った。女性・男性のどちらにも肩入れしていないところに好感を持った。

読み終えて、自分にはずいぶんとOLっぽいところがあるなあと思った(笑)。あーこういうことしてるよ、と思う事柄がいくつもあった。日本におけるバレンタインの起源の話も興味深かった。

(小笠原祐子著、1998年)(2004年12月2日読了)

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://katzlin.asablo.jp/blog/2004/12/16/6643811/tb