KATZLIN'S blog

Contents

戊辰戦争(中公新書)2008-12-13 18:02

サブタイトルが「敗者の明治維新」ということで、新政府(薩長)に敗れた会津などの東北諸藩に注目した本。


戊辰戦争というと、自分にはどうも薩摩・長州×会津・旧幕臣という印象が強い。全体としても、鳥羽伏見の戦い→江戸開城→会津戦争→函館戦争という流れでしか認識していなかった。薩長に敵対したのは会津・長岡と榎本武揚くらいのものだと思っていたのだ。
ところが、実は東北の藩は同盟を組んで薩長に対峙していたことを知った。仙台藩と米沢藩の駆け引きや、大藩の間で揺れ動く小藩の苦悩など、さまざまな思惑が複雑に絡み合って近現代の外交史のようだ。東北戦争前の和平工作のくだりは緊迫感もあって引き込まれた。歴史書じゃないみたいだ。

東北の話に比重が置かれているため、鳥羽・伏見の戦いや函館の戦いなどがあっさりとした記述なのはちょっと残念。まあ紙数の関係上しかたないのだろう。
それでも、榎本武揚らは蝦夷に共和国を作ろうとしていたと言われることがあるが本当にそう考えていたのか、という考察など興味深い話があり、これまた掘り下げたらおもしろそう。

(佐々木克著・1977年)(2008年11月17日読了)

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://katzlin.asablo.jp/blog/2008/12/13/6654976/tb