1876年日朝修好条規から1945年敗戦までの、朝鮮における日本人の歴史について述べた本。朝鮮に渡った日本の庶民が植民地支配においてどのような役割を果たしたかを、数多くの文献を参照しながら読み解いていく。
果たして日本人は朝鮮半島において何をしたのだろうか?
私の場合、日韓・日朝関係というと、強制連行のような、日本の朝鮮に対する「略奪」というイメージを持っていた。
そして、本書を読み終えてまず思ったのは、日本人が朝鮮で行ったのは、やはり略奪であるということだった。それは庶民の手で行われた。朝鮮に渡った人は高利貸となって金を奪い、土地を奪ったのだ。筆者は冒頭で次のように述べている。
日本による朝鮮侵略は、軍人たちによってのみ行われたわけではなかった。むしろ、名もない人々の「草の根の侵略」「草の根の植民地支配」によって支えられていたのである。
この考えが全編を貫いており、自分と同じ普通の庶民の行動が批判的に暴かれていく。まともに朝鮮のために働いた日本人は浅川巧ひとりくらいしかいないのではないか。
なかなかヘビーな読後感だった。羅列的な引用のために、通史としてはポイントを絞りにくいのが難点か。
(高崎宗司著、2002年)(2004年3月10日読了)このエントリのトラックバックURL: http://katzlin.asablo.jp/blog/2004/03/11/6642576/tb