愛知県への旅行で犬山に泊まり、フレンチ創作料理・なり多で夕食をいただいた。
建物は江戸末期に建てられた旧奥村邸で、4年前までは郷土資料館だったという元呉服商の立派なもの。到着はまだ明るい17:30で、一番乗りだった。席は、インターネットの写真では掘りごたつになっているが、この日はいすとテーブルだった。庭に一番近い席にしてもらえた。内装も和のテイストで(あたりまえか)、仕切戸のステンドグラスなど、なかなか素敵だ。席も全席禁煙。
料理は、電話で予約したときにコースを選んでおいた。何種類かのコースがあるようだったが、中身を聞くのは面倒だったので、値段だけ聞いて一番高い8,000円のにしておいた(帰宅後ネットで見たらさらに高いコースもあるようだ)。3泊で出かける予定が1泊になってしまったので、その分の予算を食事につぎ込むことにしたのだ。
食前酒にシャンパーニュをグラスで注文。その場で抜栓してくれたのはいいが、いきなり暴発させてちょっと先行きが不安になった。
続いてワインの吟味に入る。名古屋から電車で30分とはいえ、地方都市なのでワインは期待していなかった。が、リストを見るとなかなかの品揃え。3,000円から8,000円くらいのものが中心だったが、高いものは40,000円台まであった。そんな中で、サッシカイアが18,000円('00年)とあったので、ちょっと迷ったが思い切って注文した。最近ショップで見かけるときは安くても15,000円はしていたので、レストランでのこの値段はびっくりするほど安く感じたのだ。
前菜が運ばれてきた。
きれいな盛り付けでちょっと嬉しくなる。これを見て、シャンパーニュが暴発したときの不安はどこかに吹き飛んだ。シャンパーニュも、しっかりとして美味かった(銘柄失念)。これがまたこの前菜群によくマッチして美味さアップ。上段中央は、カツオのたたきかと思ったらマグロの炙りだ。
前菜を楽しんでいるとサッシカイアが登場。こちらはブドウのバッジをつけた本物のソムリエ氏がやってきてサーブしてくれたのでほっとした。
味は、まあこの値段ならハズレはない。濃厚でいて華やか。文句なく美味い。久々に上等のカベルネを飲んだ。温度も冷たすぎず温すぎず、グラスもリーデルで満足。このエクストリームというシリーズは初めてだけど、香りが楽しめるグラスだと思った。
サーブしながらソムリエ氏は我々にどこから来たのかと尋ねてきた。地元の客にはこういうワインを注文する人はまずいないそうだ。それからこの建物の由来などを話してくれた。また、前菜の途中で赤ワインに移るか、もう1杯シャンパンを頼むか迷っていたら、見透かしたように白のハウスワインを「サービスです」とグラスで持ってきてくれた。これが絶妙のタイミングでまた気分が浮かれ出す。ハウスワインだけれども樽がしっかりしていて美味しい。よいハウスワインの店はよい店だ。
前菜盛り合わせの次はエスカルゴ料理。
この時点でサッシカイアをグラスに注いでもらい、ワインは赤白両方になった。エスカルゴと赤を合わせると、お互いを引き立てあう。白と合わせると、エスカルゴの臭みを消してすっきりと味わえる。ワインを変えるだけでまったく違う味わいになるのがおもしろい。
スープのクラムチャウダーはパイ包みだが、なんだか膨らみがイマイチだった。味は、まあ普通のクラムチャウダーで、なんだかぱっとしなかった。
魚料理は鯛。緑色のクリームソースで食べていたらイマイチだったが、トマトソースも一緒に混ぜたら塩味がプラスされて美味しくなった。ハマグリの潮の香りがが白ワインとよく合った(まだグラスワインを残していたのだ)。
肉料理はフィレ肉のステーキだ。
焼き方はレアを指定したが、ソースが濃厚なのでもっと生っぽくてもよかったかも。と、そう思えるくらい濃いソースだった。しょうゆとタマネギがベースになっているが、どろっとしているので最初大根かと思った。肉もよくサシが入っていて、甘くて柔らかかった。
なお、付け合せは、写真では光の加減でドライカレーみたいに見えるが、赤米だ。
えっ・・・
メインを食べ終わってさてデザートはなんだろうと思っていると、チーズが運ばれてきた。そういえば今日のコースの内容をちゃんと聞いてなかった。チーズが出るなんて知らなかったから、サッシカイアはメインに合わせて全部飲んじゃった。はてどうしよう、と思っていたら今度はソムリエ氏から赤ワインのサービスが。高いワインの後に安いワインを飲むのは反則だが背に腹はかえられない。しかしそれでもしっかりとしたワインで、ちゃんとチーズに負けないものだった。チーズはちゃんと確かめなかったが、ブリーとロックフォールのようだった。
デザートは、アイスクリームの上にフルーツとカスタードクリームかなんかを乗せて焼いたもの。アツアツと冷え冷えのコントラストがおもしろい。
コーヒーには泡が乗っていた。マイルドエスプレッソというのだろうか、あまり苦くはなかった。砂糖などの器も楽しい。
会計を済ませたところでソムリエ氏がやってきて、邸内をひととおり案内してくれた。豪商の家だけあって、広かった。
オープン4周年記念ということでバラの花をもらった。満足して店を後にし、ホテルに帰った。(2006年3月20日)
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