KATZLIN'S blog

Contents

女たちの会津戦争(平凡社新書)2006-07-21 00:32

戊辰戦争での会津の女性たちの行動を、自決・籠城・逃避という3つの傾向に大別し、叙述した本。
書店でなんとなく手にとってぱらぱらめくってみたところ、読みやすそうな文章だったのと、若松城の縄張図が目に付いたので(自分は城郭ファンなので)思わず買ってしまった。


会津での戦いというと白虎隊が自刃した戦争、という程度の貧弱なイメージしかなかった。だが、この本を読んでみてそれ以外(籠城戦など)の激しさも知った。本書の「はじめに」によると、女性が戦闘に加わったのは、日本の戦争史でも、そう多くはないのだそうだ。

ただ、読み進むにつれ、会津方に感情移入したような記述が気になってきた。歴史家なら公平であるべきだと思ったのだが、会津人の残した体験記を基本資料にしているようなので、これはある程度はしかたないのかもしれない(そういや薩長方から見た資料がないな)。また、他にも悲しい光景だったとか、鬼気迫る光景だったといったような感情的な表現が目について、なんだか歴史書じゃないみたいだ。
買う前にも裏表紙の著者紹介をチェックはしたのだが、卒業学科(史学科)と著書が羅列してあるだけで経歴が載っていない。どっかの大学の元先生かな、と勝手に思っていたが、読み終えてよくよく奥付を見るとオフィシャルサイトのアドレスが。あんまりセンセイらしくないなあ、と思ってアクセスしてプロフィールを拝見してみたら、なんと歴史家じゃなくて作家さんだったのですか。道理で・・・

というわけで、会津女性の手記がおもな内容の本だった。年表のようなものがあれば全体の流れをもっと理解しやすかったのではないかと思った。

(星亮一著、2006年)(2006年7月20日読了)

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://katzlin.asablo.jp/blog/2006/07/21/6652606/tb