1984年の大河ドラマ「山河燃ゆ」が、今年の1月からファミリー劇場で放送されていて、毎週楽しみに見ている。当時高校生だった自分はこのドラマが大好きだった。このドラマで、戦争中にアメリカの日系人が抑留されていたことなどを初めて知って強い衝撃を受けたことを覚えている。
また、この夏に放送されたNHK特集「日本と戦った日系人 GHQ通訳・苦悩の歳月」を見たとき、これってまんま「山河燃ゆ」じゃん、と思った。作者の山崎豊子は執筆にあたり関係者に徹底的にインタビューしたということだが、この人もそのうちの一人だったに違いない。
さらに、9月末、東京ローズ(ドラマでは手塚理美が演じていた)のひとりとして有名なアイヴァ・郁子・戸栗・ダキノ氏が亡くなった。などなど、第二次大戦関連の話が気になっていたころ、ちょうどこの本を書店で見つけたのだった。日系二世の話もちょっとあるみたいだし、ちょうどいい。
しかし読んでみるとずいぶん取っつきにくい本だった。筆者が発見した機密文書の内容の羅列ばかりで、なんだか古墳の発掘報告書を読んだような読後感だった。
参考文献の紹介が多いので、この本を始まりとして大戦中の情報戦をより深く研究したい向きにはいいかもしれない。が、自分のように軽い気持ちで読むと迷宮に入ってしまう。
それにしても感心したのは、アメリカは、よく相手国のことを研究しているなあということ。戦争開始まもない頃に(しかも自国は劣勢だった)、すでに戦後の計画をたてていたというのは非常に現代的な感覚だと思った。天皇を象徴として「利用」する発想は、ミッドウェイ海戦以前にすでに存在していたのだ。
アメリカにはかなり洗練された統一的情報戦略があったことがわかったが、では日本はどうだったのだろう、というのが気になった。というわけで、次は陸軍中野学校の本を読むことにした。
(加藤哲郎著、2005年)(2006年10月17日読了)このエントリのトラックバックURL: http://katzlin.asablo.jp/blog/2006/10/18/6652677/tb