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ニーチェ --ツァラトゥストラの謎(中公新書)2008-09-18 00:02

学生の頃にニーチェの「善悪の彼岸」を読んだことがあって、普段なんとなく考えていたことがそのものずばり書いてあったのに衝撃を受けた。共感できそうな気がして、次は有名な「ツァラトゥストラはこう語った」を読んでみようと思いたったのだが、本を手にとってぱらぱらとめくってみると散文調でなんだかとてもじゃないけど読めたもんじゃない。
で、そのまま諦めて20年近くの歳月がたったのだが、先日ふと本屋で見かけたこの本が、なんだかちょうどよい解説書のように思えたので買ってみた。


ニーチェとはどういう立場の人なのか、というような背景はほとんど知らなかったのだけど、この本ではそのあたりの解説から入るのも勉強になった。
ちゃんとストーリーを追っての解説なので、原作を読んでもいないのに読んだような気になれた。ごく大雑把に言って、紆余曲折があった挙句に、最後は永劫回帰に落ち着く感じだった。最後だけ読みゃいいじゃん、という気がしないでもない。

ニーチェが難解なのは思想というよりもその独特の表現方法にあるようだ。裏の裏を読むとか、パロディ化して読むとか、そんなこともしなければならないらしい。なるほど、読み手の数だけ解釈があるというのはそういうことなのかと納得した。だが自分にはそんな読み方できない。あのとき、原作にチャレンジしていたらきっと挫折していたに違いないと思った。

(村井則夫著・2008年)(2008年9月4日読了)

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