根津美術館に、孤篷庵所有の大名物にして国宝の井戸茶碗「喜左衛門」が来るので見に行くことにした。もしかしたら過去に見たことがあるかも知れないが、少なくとも、茶道具に興味を持ち始めたここ2年ほどの間には見ていない。
この冬、三井・五島・根津の3つの美術館がタイアップして『茶陶三昧』というキャンペーンを打っており、いずれかの入場半券を提示すれば他館の入場料が割引となる。10/14に三井美術館の「国宝卯花墻と桃山の名陶」を観に行ったので(この展覧会じたいは印象が薄く、そのあとに寄った貨幣博物館の方が面白かった)、その半券を使って、根津を割引きしてもらおうという算段だ。ちなみに五島は国宝がなかったのでパスした。
美術館に到着したのは開館直後。どうせ空いてるだろうと思ったらなかなかの賑わいだった。お茶会があるらしくて、そのついでの人が多いようなようす。
展示室に入ってすぐの単独ケースにお目当ての国宝喜左衛門を見つけ、ひとしきり眺めたが、なんだかよくわからん。とりあえず国宝を見るだけは見て、ほかのものを見ようと周りを見渡して、ぎょっとした。
展示されている茶碗はすべて井戸茶碗なのだ。どれもこれも、全部が全部、おんなじ茶碗にしか見えない・・・ こっ、これはレベルが高い。
しかたないので展示室の解説に頼った。てか、最初からこれ見れば良かったのだけれど。
曰く、大井戸茶碗の見どころは、轆轤目、竹節状の高台、高台内の兜巾(とは言っても鏡の上にでも展示しないと見えないし、この展覧会はそうではなかったのだけど)、枇杷色の釉、総釉、高台の
対して小井戸は、大井戸に比べて浅めの碗形、わずかに口径が小さく、高台も小さく低い。あとは大井戸と同じ。
いっぽう、青井戸茶碗というのもある。だが色は青とは限らず、むしろ共通するのは、高台から口径までがほぼ直線、高台が低い、轆轤が強いという点。また、釉薬のかからない火間が見られる。火間は釉薬を柄杓で掛けるとできる。大井戸も柄杓がけをすることはするが、丁寧に作るので、火間は見られない。
そんなこんなで、一回りして二回りめに入ると、おぼろげながらも味が分かったような気がしてきた。特に梅花皮はそれぞれの茶碗の違いが大きく出ていて面白かった。
というわけで、やっぱし茶碗は奥が深いのだということを改めて思い知ったのだった。とりあえず、我々ふたりは細川が一番よかったということで意見が一致した。
このほかの見ものとしては、展示室6の国宝「鶉図」があった。また、根津は青銅器もよい。
庭園の一角にある NEZUCAFE で数量限定のハンバーグとニース風サラダを食べ、新宿で買い物をしてから帰った。
(根津美術館・2013年12月7日観覧)
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