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開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」2014-04-14 21:52

栄西と建仁寺展看板
俵屋宗達の国宝風神雷神図屏風が5年ぶり「見参」とか。でもそれだけではどうもなあと思っていたら、たぶん見たことのない誓願寺盂蘭盆一品経縁起(国宝)が出典されるという。これは4/6までのわずか2週間の展示だ。この時期なら本館裏庭の桜もきれいだろうし、法隆寺のお面の部屋も開いているだろうし、ちょうどいいか。
で、よくよく見たら、なんと開会後1週間限定の超割引チケットなるものが発売されていた。これ、ドンピシャじゃん。え、発売は1/13まで? ・・・ というわけで、普通の前売券を購入しての観覧となった。


9:20に着いたらまあまあの混み具合。時間になり、4列に並んで入場。しかし今日はダッシュや速足の人がいない。それでどうにも歩みがのろい。しびれを切らして(でも顰蹙を買わないように)じわじわと追い抜いていった。平成館脇の枝垂れ桜がきれいに咲いていた。
枝垂れ桜

清拙正澄墨跡 遺偈(常盤山文庫・国宝)
No.61。第1室から順に進み、栄西自筆という誓願寺の盂蘭盆一品経縁起はふうんという感じで過ぎ、第2室へ進もうとすると、ノーマークだった国宝の「棺割の墨蹟」があった。力強い書で、エピソードが面白い。遺偈なんで、つまりは遺言なのだが、入滅後に、つまりは死んだ後に、また起き上がって弟子に戒を授けたという話で、この別名があるとか。
海北友松筆 雲龍図(建仁寺・重文)
No.109。第3室は、大画面のオンパレードだった。しかも全て海北友松である。
海北友松というと、名前は知っているものの、では代表作は何か、と言われると思い出せない人だ。等伯などと違って国宝指定がないせいかもしれない。自分の場合、絵よりも真っ先に思い浮かぶのは大河ドラマ「春日局」の吉幾三、というくらいなのだ。
しかし、この空間は良かった。特に雲龍図はすばらしく、ボストン展で目玉だった曾我蕭白なんか霞んでしまうほどだった。蕭白は友松のパロディにしか思えない。
長谷川等伯筆 竹林七賢図屏風(両足院)
No.142。友松の部屋を後にすると、等伯があった。これは友松の竹林七賢図(No.105・重文)そのまんまという感じ。解説を見れば、友松の影響を受けて云々とある。
院達作 小野篁・冥官・獄卒立像(六道珍皇寺)
No.179。さらに進むとなんともユニークな仏像が。どうやら獄卒のようだ。指差して「やーいやーい」と言っている。2010W杯のマラドーナを連想した。とっても面白くて気に入ったが、仏像としての出来は大したものではない。
焰口餓鬼図(六道珍皇寺)
No.181。なんとも不気味で奇妙な絵。60年代のレコード・ジャケットにありそうなサイケデリックな感じで、画面中央にでっかく陣取るロボットのような巨大餓鬼の周りを、いろんなミニ餓鬼がうごめいている。左下には坊さんが受付みたいなことをしている。
解説に絵の謂れがあったが、お前もあと3日でこんな姿になっちゃうぞ、と脅された阿南が、陀羅尼を使って餓鬼に飲食を施してその難を逃れた、ということだった。主語がなくて読解が難しい解説だったが、帰宅後に調べたところ、どうやら「佛説救抜焔口餓鬼陀羅尼経」なる経典の一節であるということらしい。
俵屋宗達筆 風神雷神図屏風(建仁寺・国宝)
No.183。いよいよ宗達風神雷神図屏風の前まで来た。やはり、展示の一番しんがりだった。屏風の前はさほど混んではおらず、ガラスにくっつくように間近で鑑賞することができた。
我々は二人とも初見のはずだが、何しろいろんなメディアで見過ぎていて、既視感たっぷり。なもんで、感動という点ではそれほど大したことはなかったが、ずっと眺めているとジワジワと湧いてきた。
つるりとした絵という印象があったが、実物は、表面が結構ゴツゴツしていて、腕の体毛っぽい感じとかは、やはり現物でないと味わえないだろう。
また、相棒は、思ったよりも余白が少ないと言う。本の解説などで余白の美がどうのこうのということが多く、そのために頭の中で強調されてしまったようだ。

もう一度会場を一周したあと、絵ハガキを3枚買った。そのあと最後にもう一度、海北友松の雲龍図と、風神雷神図を見てから会場を出た。それでも10:30だった。

裏庭で桜を見たあと、本館で「博物館でお花見を」なるスタンプラリーをした。本館の展示で桜に関係した作品の近くにあるスタンプを集めるとカンバッヂがもらえるというものだ。バッヂには桜と観音の柄があったが、2人とも観音にした。

平成館に戻ってラウンジの鶴屋吉信の菓子で食いつないでから、法隆寺館に行って久しぶりにお面を堪能した。
伎楽面
独特の、息詰まるほど静かな雰囲気がいいところだが、この日はやけに人が多くてわさわさしていたのが残念だった。そう言えば本館も人が多く、いやに外国人率が高かった。
そろそろ疲れたので東博を去ることにしたが、その前に、iPhone アプリの「トーハクなび」のスタンプラリーをコンプしたので景品を引きかえにまた本館まで行った。景品はなんと風神のカンバッヂだった。公式英語サイトを見ると、雷神のカンバッヂもあるみたいだ。

東博のあとは芸大美術館の「観音の里の祈りとくらし」展を見に行くことにした。
観音の里の祈りとくらし展看板
入ったらちょうどトークショーだかなんだかをやっていて、凄い人だかりだった。仕方なく、隣の展示室の芸大コレクションとかを見て時間をつぶすことにしたが、芸大の所有する国宝の絵因果経が出ていたのはラッキーだった。他には曾我蕭白もあった。やはり自分はこの人のマンガちっくな絵が好きになれない。

肝心の観音の里展では、チケットにもあしらわれている重文の千手観音のなかなかシックなクリアファイルが配られて、もうそれだけでトクした気分になってしまった。
狭い会場に18体の観音像が押し込められていた。ほとんどが平安時代の仏像で、うち重文は18体。クリアファイルの日吉神社の千手観音もよかったが、文化財指定のないものにも良いものが多かった。ただ、人が多いし、雑然とした雰囲気だったのだけが残念だった。

観音展のあとに芸大美術館のカフェで滋賀から取り寄せたとかいう大福を食べて休憩し、花見客でごった返す上野公園をそぞろ歩きしたあと新宿に出て、夕食にすっぽん鍋を食べた。えんぺらが超美味だった。
(東京国立博物館・2014年4月5日観覧)

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