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長谷川潔展 --作品のひみつ--2006-02-19 23:28

長谷川潔展ー作品のひみつー

長谷川潔展グッズ
日本では不当に評価の低い(と私は思っている)長谷川潔。単独の展覧会は珍しいので、楽しみにしていた。昨日(18日)に観に行った。

自分がこの人を知ったのは10数年前、開館したての頃の横浜美術館。常設展に長谷川潔のメゾチントの版画がどどーんと並んでいたのだ。黒は濃く深くなめらかで、静物は静物らしく微動だにしない。静物画をいいなあと思ったのはそれが初めてのことだった。一発でお気に入りとなり、早速絵はがきセットを買って帰ったのだった。
横浜出身ということも強く印象に残った理由のひとつ。横浜美術館では、ご当地作家ということでコレクションに力を入れているという。長谷川潔の生まれ育った西区の御所山は 自分の実家に近く、私の通った小学校は彼が卒業した戸部小学校から分離した元分校だった。つまり、長谷川潔は学校の先輩なのだ(ちょっとこじつけ気味だが)。そんなわけで 勝手に親近感を覚えたのだった。


開館の10時を少しだけ過ぎたところで到着。館内は予想どおり空いていて、気分良く観られた。
展示は「裸婦とミューズ」「風景」「草花・静物」「小さな世界(挿絵と装丁)」の4コーナーに分かれていた。

裸婦コーナーはほとんど素通りした。正直、つまらなかった。その次の風景が意外に良かった。彼は西洋建築の幾何学的な美しさにひかれたというが、これは後のメゾチント(マニエル・ノワール)の静物画の構図なんかにもつながっているようだ。

そしてなんといっても、一番長谷川らしい、草花・静物。今回は下絵がいくつか展示されており、黄金比を多用した構図の考え方が味わえたのがよかった。自分がこの作家に魅かれたのは、黒の質感もさることながら、この整然とした静謐な構図がツボにきたからだということに気付いた。
また、「狐と葡萄」のキツネのようなモチーフは想像で描いたものだと思いこんでいたが、なんと本物の人形が展示してありびっくりした。「仮装したる狐」の、服を着て立っているキツネも置いてあったが、作品と同じようにバッグを持っているのが可笑しかった。人形は目がとれたりしてヘタってしまい、長谷川作品の仮装ギツネの方が生き生きとして美しく感じた。

もうお腹いっぱいになって、最後の挿絵のコーナーは流して見た。
以前にも買ったことのある絵はがきセットと、カタログ(2,300円)を買った。館内のスタンプを集めてミュージアム・ショップに行くとプレゼントがあるというので行ってみたら、「KIYOSHI HASEGAWA」という小さな正方形の画集があった。この方がカタログより印刷が良いので思わず買ってしまった。奥付を見れば、印刷は便利堂だった。さすがだ。監修は京都国立近代美術館となっていた。ちなみに、プレゼントは長谷川潔の絵はがきだった。
にしても、ほとんど所蔵の作品並べただけで1,000円(割引800円)の料金をとるっつうのはどうなんだろうか。そういや「作品のひみつ」って何だったんだろう?

満ち足りた気分で美術館を出たのは13時。たっぷり3時間楽しんだ。
昼食には、クイーンズ・スクエアの陳麻婆豆腐店に行った。相棒はポルチーニ茸とピーマンの炒め物、自分は麻婆豆腐をそれぞれランチセットで、それに「郭夫妻の成都名小吃」なる牛の内臓の炒め物を注文。麻婆豆腐は店員に「かなり辛いですが大丈夫ですか」と聞かれチト怯んだが、食べてみるとなんとか耐えられる辛さだった。山椒が強いのが、中華街なんかの本場物と同様だ。ギリギリの辛さが病み付きになり、ごはんが進んでしまう。ポルチーニとピーマンの炒めものは、本当にそれだけをオイスターソースかなんかで炒めてあるだけ。チンジャオロースーから牛肉をなくした感じだ。一口めはしょっぱかったが、激辛の麻婆と一緒に食べ進むと爽やかさが感じられて、これまたばくばくと・・・
(横浜美術館・2006年2月18日)

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