KATZLIN'S blog

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神田の大糸桜と清春芸術村の桜2006-04-23 17:34

2週間前の甲州高尾山ハイキングに引き続き、山梨県に桜を楽しみに行った。今度は北西部で、最近の市町村合併で北杜市となったところ。


まずは小淵沢の、神田(しんでん)の大糸桜。ウチからは、小淵沢着は一番早くて8時ちょうど。長坂を過ぎると車窓からも大糸桜が見える。
大糸桜と八ケ岳
思った以上の人だかり。これは急がねば。駅から歩いて行く予定だったがいきなりタクシー利用に変更。

到着は8:20頃。タクシー料金は1,210円だった。周辺は交通規制がしかれていて、車両侵入禁止ゾーンの手前で車を降ろされた。といっても桜の近くで、すぐにたどりつける。そして大糸桜は思ったよりも広い畑の中に立っていた。
大糸桜と富士山 大糸桜と甲斐駒を並べて眺める 大糸桜と甲斐駒と水仙
まず目に入ったのは富士山で、桜と並んで見えたが、逆光で撮影には向かないようだ。あたりは、富士山だけでなく、八ケ岳、甲斐駒ケ岳、北岳、鳳凰三山などの名峰に囲まれるという山好きにはこたえられないロケーション。
いったん近づいて間近から枝を観察。包帯が痛々しい。満開だが、葉が出始めている枝も一部にはあった。
比較的近い場所から桜と甲斐駒を並べて眺めると、桜が山に向かって手をさしのべているようで面白かった。人がいなくなったら写真を撮ろうと構えていると、例によって、どこに行っても湧いて出てくる近○リの団体が登場。撮影は10分以上延期せざるをえなかった。
引き続いてカメラマンが大勢陣取っている水仙畑の奥へ。バックに甲斐駒・手前に水仙とロケーションは最高で、さらに桜じたいがちょうどこちらに向かって枝垂れているためひときわ美しい。ひとまわりしたが、結局この角度からが一番きれいだった。空が青ければ言うことはなかったのだが、この朝はずっと高曇りのままだった。

1時間以上もたっぷり楽しんでから、大糸桜を後に南へ。清春芸術村へ向かう。後ろを振り返ると大糸桜が八ケ岳と並んで見え、これまたいい眺めだ。
大糸桜と八ケ岳を振り返り見る
中央線の踏み切りを渡り、農道のような道を南へ。広い道路に突き当たり、左(東)に向かう。甲斐駒や鳳凰三山などの南アルプスや富士山をちらほらと眺めながら歩く。HOYAの工場があって、敷地内のソメイヨシノらしき桜が満開だったほか、道の周囲にも小さいながらも満開の桜がいくつかあった。

柿平の集落で右(南)へ。道が2本あるが、どちらからでも清春には行ける。なんとなく東側の道を選択した。新宿区の温泉施設「グリーンヒル八ケ岳」の周辺は桜並木になっていたが、ちょっと散り始めていた。この道を進んで正解だと思ったのは、甲斐駒がきれいに見えたときだった。小さな谷をはさんで西側の道が見えたが、あちらはその向こうに林があって甲斐駒の展望はなかったのではないか。畑と花と山という、里の春を満喫しながらのぶらぶら歩きは楽しかった。
里の春

清春芸術村に着いたのは10:15頃。大糸桜から30分ちょっとだった。
入館料900円をケチったのか、中に入らず塀の外から覗きこむようにして写真を撮っている人もかなりいたが、ここの良さは中に入らないとわからないだろう。ただし、ラ・リューシュの建物と桜とを合わせて見るには外からの方がいいかもしれない。
清春芸術村 空中茶室 裏手に回ると甲斐駒が
芸術村の敷地内は芝生(もちろんこの季節は枯れていたが)の広場で、彫刻やオブジェが点在しており、全体が展示場のようになっている。門のすぐ前に建つラ・リューシュの裏側に回ると、敷地を囲むように並んだ桜越しに鳳凰三山が見渡せて美しかった。
広場の最奥にあって目をひいたのが空中茶室「徹」だった。ムーミンの物語なんかに登場しそうな感じがする。桜に埋もれていると絵になるが、夏なんかはどうなんだろう。その桜は満開をちょっと過ぎてしまっていたようだ。が、風が吹くとはらはらと散る花びらがまた美しく、違う楽しみ方ができてよかった。

続いて美術館に入った。建物の設計は谷口吉生で、葛西の水族館や東博の法隆寺館でお馴染みの人だ。
入って左側が本館にあたるのだろうか。展示のほとんどがジョルジュ・ルオーで、さながらルオー美術館といったところだ。ルオーの絵は、見ているとなんだか厳かな気分になってしまう。宗教画ばかりなのだから当たり前といえば当たり前だが、無宗教を自認する自分は、他の画家の宗教画や日本の仏像なんかを見てもこれほど厳粛になることはまずない。なにかしら不思議なオーラが出ているのだ。ほとんど動揺に近い不思議な高揚感を味わった。
館内は、順路がらせん状に進み、会津若松のさざえ堂を思わせる。展示方法も、壁かけだけでなく階段にケースを置いたりなどしていて、おもしろかった。

右側の棟は、自然光が入って明るかった。
企画展示は梅原龍三郎。落書きみたいであまり好きではない画家だが、ここでは良かった。梅原というと富士山のどぎつい赤のイメージを持っているのだが、「浅間山噴煙」の淡い色使いは気に入った。「雉」は、撃たれたのだろうか、ぐったりと横たわっている雉の絵。通り過ぎようとしたが何かがひっかかる。しげしげと見ると、羽の部分に金色の絵具が使われていた。金は、どちらかというと絵の具ではなくマチエル的な使い方をするしかないと自分は思っていたのだが、これほど効果的に使われているのは素晴らしいと感じ。

芸術村で桜と絵を堪能してから、ごく近くにある超有名そば店のへと向かった。11時開店で、到着は11:10過ぎだったが、すでに待ちの人が大勢いた。これは覚悟していたことなので驚かない。まずは順番待ちリストに名前を書き、のんびり待つことにした。
順番が回ってきたのは11:40ごろだろうか。30分待たずにすんだ。メニューはざるそばと田舎そばの2品しかない。相棒とふたりで2種類のそばを1枚ずつとエビスビールを1本注文した。
翁のざるそば 翁の田舎そば
まずはざるそばが運ばれてきた。つゆは鰹節の風味が強く、繊細な香り。そばも美味い。のど越しもよく、つるつると一気喰い。
続いて田舎そば。太い。太いそばはボソボソになりがちだが、これはそうではない。ただ、太くて短いため、つるつる・ずーっ、というわけにはいかない。そばの香りはざるよりも強く、そのくせ、うどんのようなもちもち感がしておもしろい。普段は細めの都会派そばが好きな自分だが、この2種類では田舎の方が好みだ。2枚では少し足りない気がしたので、自分だけ田舎そばを追加注文した。
そばはどちらも美味かったが、ビールがその風味を消してしまうのがもったいなかった。日本酒が何種類かおいてあるので、もし次の機会があったら絶対日本酒にしようと思った。なお、店内は全席禁煙。

翁を出て、長坂駅まで歩いて帰った。道は斜面の中腹についていて、雄大な南アルプスを眺めながら歩けるのがいい。
駅までは、大深沢川の深い谷を下りきったあと再び登る。この登りが満腹の腹ごなしにちょうどよかった。翁からたっぷり40分くらいかかってようやく長坂駅に着いたのは12:40頃。長坂は電車の本数が少なく、日中は1時間に1本または2本。電車が来るまで40分くらい待たされたが、駅前に図書館があったので、のんびりと過ごせたのはよかった。
(2006年4月22日)

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