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日本人はなぜ狐を信仰するのか(講談社現代新書)2006-09-02 11:36

題名を見て単純に「なぜだろう」と思い、読んでみた。どうして、狸とか他の動物じゃなくて狐なんだろう。


しかしそうした疑問への答えはこの本にはなかった。主題は「なぜ(どうして)狐を信仰するのか」ではなく、エジプトのアヌビス神などと稲荷狐との共通点を探り「信仰において狐はどういった役割を果たしているのか」を探ることだったのだ(この共通点として挙げられている「三つ組の構造」が弁証法の焼直しに見えてしかたないのだが・・・)。

本書の結論は、233ページにあるように稲荷狐とは「異界との接点」である、ということだ。でも狐がお稲荷さんのお使いだということを知っていると、「そりゃあそうだろうなあ」くらいの感想しかない。どうして狐なのか、狸でも鶴でもいいん じゃないのか。狐が選ばれたのにはわけがあるんじゃないのか。俺は題名を見て、そこに疑問を感じて、答えを知りたいと思ったから読んだのに。というわけで、へもへも紹介板にあるように、「あれあれあれ」になってしまったのだった。
とはいえ、日本以外にも狐が同じような役割をしている信仰があるという点は面白かった。

なんというか、散文的で脈絡がなくて読みにくかった(のわりには目次を見ると章建てなんかがしっかりしているのが不思議だ)。筆者の、土地神様が夢に出てきたという体験談なんかがあってドン引きしてしまったせいかもしれない。

(松村潔著、2006年)(2006年8月30日読了)

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