会場がアレなのであまり見る気がおきなかった展覧会だが、相棒がかなり乗り気。そこでネットで評判を調べてみる。なかなかよい感想が多く(ブログでは悪く書く人が少ないせいもあるが)、どうも北斎がイイらしい。相棒は北斎ファン。まあ行ってみてもいいかな、という気になってきた。
今週末が最後の土日で、激込みの予感。しかたがないので、急遽風邪をひいて平日にでかけることにした。
両国に着いたのは10時ごろ。なんだかすごい人ごみで、年寄りばっかりだ。どっかの歴史愛好会みたいなのが団体で押し寄せてきたらしい。みんな「ちゃんこで忘年会」とか書かれた、遠足のちらしみたいなのを持っている。せっかく平日に来たのに、なんと運の悪いことだろう・・・
どうもネットで見た感じでは美人画がイイらしいが、自分は浮世絵では風景と役者絵のファンで、あのダイナミックな構図が好きなのだ。お気に入りの絵師は広重とか写楽とか国芳など。そんなヤツが風俗画や美人画を見たって面白いはずがない。
入場券が自動改札用の情けないチケットでいきなり出ばなをくじかれる。半券を見て期待が高まるっつうのに、これじゃ・・・
入っていきなり北斎の「朱鍾馗図幟」(No. 17)があったが、ふうんという感じ。特別感想もないまま風俗画の中を突き進む。まるで興味なし。そのまま美人画に突入。ほとんど興味を持てず、漫然と流す。着物から出てる手がピグモンみたいで気持ち悪い。
なにしろつまんない。このままじゃ入場料ドブに捨てたのとおんなじことになる、と危機感が増してきたそのとき、豊国が目に入った。そこからようやくおもしろくなった。
展示は、時系列あるいは絵師ごとにカテゴライズしたほうがわかりやすかったと思う。出品作品数が少ないうえに、同じ絵師の品があっちにあったりこっちにあったりして、なんだか散漫な印象を受けた。で、北斎だけちょっと異質なもんだから目立っちゃう。
会場はなにしろ年寄りが多くて、シップ薬のかほりがほのかに漂う展覧会となった。まあそれはいいとしても、こういう展覧会をあまり観ない人が多いのだろう、堂々と絵を撮影して係員に注意され不満気にデジカメをしまう爺様や、場内のソファに腰かけペットボトルのお茶を飲もうとして係員に注意され恥ずかしそうにお茶をしまう婆様などがいたりして、やはり江戸東京博物館じゃこんなもんかなと思ったしだい。だってみんな(もちろん全員ではないけど)絵が見たくて来てるんじゃなくて、東京見物のついでに寄ってるだけなんだもの。いくら名品そろえたって、これじゃあもったいない。ウィーン・フィルとか呼んどいて、居酒屋で演奏させてるようなもんじゃないのか。
もともとあまり期待していなかっただけに「まあこんなもんかな」という感想。北斎は評判どおりで、豊国の歌右衛門と歌麿の2枚を見られたのが収穫だった。にしても1,300円は高すぎ。
絵はがきを4枚買って会場を後にした。もう会期終盤のせいか、チラシがなかったのが悲しかった。(江戸東京博物館・2006年12月7日観覧)
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