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国宝 大神社展2013-04-24 19:58

なかなか公開しない神社のお宝がわんさか出るという噂の展覧会。国宝・重文160件という。が、出品リストを見ると、例によって「○○出土品」とかが多く、正直ビミョー。だが見たことのない国宝もいくつかあるので、一度は行っておいた方がよいだろう。
展示は前期・後期に分かれるが、リストから前期を選択。前期の雰囲気で、後期にも行くかどうか考えることにした。

大神社展


開場時間ちょっと前に門前に着いたが、入場待ちの列は、列というほどのものでもなかった。まだ会期初めだからか、それとも内容が地味過ぎるのか。
9:30になり、ゆりの木の枝にとまったカワラヒワが鈴のような美しい声で鳴く広場を、平成館へ向けてしずしずと進んで行った。庭の芝で和んでいたツグミが、急に押し寄せた人たちに驚いて飛び去った。

金銅製雛機(宗像大社・国宝)
No.72。なかなか精巧なミニチュアの機織り。
海部氏系図(個人蔵・国宝)
No.83。天橋立にある籠神社の宮司家の系図。なかなかお目にかかれない品で、国宝ウォッチャーとしては見ておかねばならないものだ。
しかし、歴史資料としては一級品なのだろうが、美術品としては、まさに「見た」という、それ以上でも以下でもない品であった。
沃懸地螺鈿金銅装神輿(鞆淵八幡神社・国宝)
No.116。10年前に滋賀県の日吉大社で室町時代の神輿をいくつか見たが、これは平安のもの。しかも螺鈿の装飾とあって優美で豪華だ。幡の細工も繊細で素晴らしい。
これまた祭礼の日にしか見られないものとのことで、海部氏系図とともに今回の目当てのひとつなのだが、どうやら自分は2000年に開催された日本国宝展で見ているっぽい。
人物画像鏡(隅田八幡神社・国宝)
No.143。一言で言うとヘタウマ。このすぐ近くに海獣葡萄鏡(No.144)が展示されていて、その精緻さのあとで見るもんだから、余計に下手さ加減が目につくが、しかしこれはハイレベルなデフォルメという気がしてしかたない。非常にデザイン的で、こういう模様のTシャツとかあってもおかしくないくらいだ。少なくとも自分は、海獣葡萄鏡よりもこちらの方が断然好みだ。
七支刀(石上神宮・国宝)
No.146。展示ケースの前には結構な人数がたかっていた。係員に「七支刀はどこにありますか」と聞いている人も何人か見かけたし、これ目当ての人はかなりいそうだ。
奇抜な形状がおもしろいが、それにしても自分はこれを見ると「六支刀」なんじゃないかといつも思ってしまう。文字の象嵌もきれいだ。
海松円文螺鈿鞍(手向山八幡宮・重文)
No.165。形が古代で装飾が中世ということで、その過渡期にある鞍なんだとか。模様がとても美しい。
武装神坐像(大将軍八神社・重文)
No.207。なんと四天王のような神像。でも、四天王ではあり得ない坐像であるのが異様といえば異様。また、金色の神像は珍しいとか。そう言われれば、神像って木地がそのままだったり、服の色だったりするような印象だ。
神像は服の衣紋を彫らないので、どれもこれものっぺりしていて、それが居並ぶさまはちょっと不気味な感じがした。でも好きな人はパワースポットとか言ってよろこびそうな気もする。
女神坐像(八坂神社)
No.220。なんと十一面観音のような神像。でも、足の組み方やらなんやらが仏像とは確実に違う。
本地垂迹的な発想で、この像は白山神で、その本地仏が十一面観音という。ちなみに所蔵している八坂神社は福井県の神社だ。

地味に面白かったが、コレといった目玉がない感じは否めない。強いて言えば七支刀がそうなのかも知れないが、それにしてはPRが今ひとつ。『空前絶後の神道美術展』を謳うのならば、三井寺展の黄不動クラスのような、生きている間に一度お目にかかれるかどうかという超レアものが見てみたかった。たとえば吉野水分神社の玉依姫命坐像だとか。
後期でも見たいのは北野天神縁起と、青森の櫛引八幡の鎧くらい。どっちもその気になれば現地に行って見ることができるわけで、そう考えると自分にとってはもう一押し足りない気がして、後期は行かないことにした。
なわけで、11時前には平成館を出た。自分たちにしては早い。絵ハガキもなんだかピンとくるものがなくて買わなかった。カタログは見る気も起きなかった。でも、繰り返すが、地味に面白かった。

本館2階で新指定の国宝・重文展示を見てから、東洋館のレストランゆりの木でかつりんは雉子丼、相棒は伊勢うどんを食した。いずれも、神社展にちなんで伊勢の食材を使ったものだった。ついでに神都ビールという地ビールを飲んだ。
雉子丼
午後は、本館・新装なった東洋館・法隆寺館など、フルコースでじっくり見て回った。博物館を出たのは閉館近い16時半過ぎだった。年に何度かは訪れる東博だが、そこまで長時間いたのは記憶にはない。夕食に新宿ですっぽん料理を食べてから帰宅した。
(東京国立博物館・2013年4月20日観覧)

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