今朝は雷鳴で目覚めた。天気図を見ると低気圧が増えて二つ玉になっていた。山はおろか、平地も荒れる典型パターンだ。出かける予定だったのを取り止めた。自分にもその程度の知識はある。
しかし、体育の日の3連休の山行では、気圧配置が一時的に冬型になるというので、じゃあ冬型でも晴天率の高い八ヶ岳に、と行ってみたところ予想に反して雲に覆われていた。天気の読みの甘さを痛感し、本屋のアウトドア・コーナーで見付けたこの本でもうちょっと勉強しようと思った。
山歩きの際の天気予測としては、観天望気が一番効果的だと思う。
天気図の知識ももちろん必要だが、いったん山に入ると(北アルプスのような整備された営業小屋ばかりの山域は別として)天気図の入手が難しい。気象通報を聞いて自分で天気図を描くこともするが、正確なのかどうかイマイチ自信が持てないし、放送の始まる16時までにテント場に着けないこともあるし。空を見て、あの雲があるから明日は雨だ、とかわかればそれに勝るものはない。
この本はその観天望気の本だ。温暖前線や寒冷前線の説明など、半分くらいは中学生の頃に学校で習った内容でちょっとがっかりだ。が、雲の分類は苦手な分野なので、しっかりと読んだ。でも残念なことに写真がモノクロなのでちょっとわかりにくい。これはもう実践あるのみだ。
読んでいる途中でいまさらながら気づいたのだが、出版が 1998 年と古く、たとえば台風に関する記述もすでに廃止された「『弱い』台風」などの解説があったりする。「インターネットの有効な利用法」なんていう章も今更感が強い。なによりも、「アウトドア・ハンドブック」だからと思って買ったのだが、「野外で注意したい天気」の章が短いのがちょっと残念だった。
が、雲の基本分類は10種類でいいという記述に、ちょっと勇気付けられた。頑張って覚えなければ。そして次は山岳気象専門の本で勉強してみたい。
ウチのテントは1995年頃に購入したもので、ダンロップのW-371という、200cm×150cmの2~3人用。2003年に入口メッシュのジッパーが閉まらなくなったのと、ひん曲がったポールを修理に出したことはあるが、未だ現役だ。通算53泊。
ダンロップの真骨頂である吊り下げ式で、ポールは3本(メインポール2、棟ポール1)。上から見ると「*」の形に組む。耐風は、骨組みに対して→*の向きには強いが、↓*だととてつもなく弱い。付属のペグはプラスチック製。出入口は長辺に1つで、反対側には換気窓が付いている。吹流し型じゃなくて四角い、ちゃんと窓みたいなやつ。その換気窓の下には小物入れポケット。天井には小さなループが3つもある。出入口は∩形。
とまあ、欠点はあるが愛すべき我が家なのだが、7月末のトムラウシ縦走の際にヒサゴ沼でテントを広げたとき、あちこちにガタがきていてびっくりした。メッシュのジッパーがまた閉まらなくなった。さらに、フライのジッパーも閉まらなくなった(注意してそーっとやると50%くらいの確率で成功するが)。フライと本体を止めるゴムが切れそう・・・って、どれも去年テントしまったときに思い当たった症状じゃん(山行前にチェックしとけよ、と自分を責める)。
そろそろヤバいかな、と思っていた折節、発売中のヤマケイJOY「南アルプスの歩き方」を手に取ってみるとテント特集が。えっ、最近のテントってこんなに軽いの! ウチのと同じサイズでも2kg切ってる!! うわ、収納時の大きさなんか半分くらいじゃん!!!
試しにウチのテントの重さを量ると本体・フライ・ポールで3.2kg。よし、買い替えるぞっ。
というわけで、カタログのチェックから始めた。希望スペックは以下のとおり。
というわけで、ニッピンのメスナーSFN_TEXとプロモンテ(旧ダンロップ)VL-32の一騎打ちとなった。実物を見てみないとお話にならないだろうということで、まず秋葉原のニッピンに行った。
メスナーテントはなかなか良さそうだったが、中に入らせてもらったところ、ずいぶん圧迫感を感じた。メスナーは四角垂に近いが、今使っているW371はどちらかというと台形型。そのぶん、カタログスペック上の全高は同じでも、内部空間が広く感じるのだ。また、店内ということもあるだろうが、内部が暗く感じた。テント生地がSFN_TEXで二重になっているうえに、本体がオレンジでフライが緑というほぼ補色関係。補色は混ぜれば灰色になってしまう。
前室は面積は広々としていたが、立体で考えるとW371の方が勝る。W371は棟ポール(というより「バー」と言った方が正しいかも)のおかげで前室が上部に張り出しているため空間が広い。したがってフライを閉め切ってコンロを使ったとき、鍋ないしコンロがフライに接触しないようにと気を遣うことはあまりない。が、メスナーは頂上部から地面に向かってフライが一直線に張られるため前室の上部空間が仕切られてしまう。これだとフライに鍋があたりそうでちょっと気になった。これは国産のテント全般に見られる傾向だ。
というわけで、購入は保留。カタログだけではわからないことが多くあることに気づいたので、秋葉原から近い神田神保町の山道具屋を数軒まわって研究することにした。残念ながらVL- 32が展示してある店はなかったが、アライなどの軽量テントを見ることができた。それらを見て思ったことは強度が弱そう、ということだった。ボトムなんて薄っぺらくてすぐに破れちゃいそうだ。となると、もしこれらのテントを買うとしたら、グランドシートも買わないといけないな。もちろん重量は増すが、それでも今使っているW371よりも軽くてすむか。ふうむ。
というわけで、再びカタログチェックの段階に戻る。W371並の居住性を求めるとダンロップのVシリーズか、ヨーレイカになってしまうようだ。しかしいずれも重量は3kgほどでW371と同程度。エスパースはそれよりは軽くて中も広そうだが、前室がちょっと狭そうだ。結局、多少重くても居住性をとるか、居住性は犠牲にして軽量化を求めるか、というテント選びの基本に戻ってしまったのであった。
とりあえず今シーズンはW371をだましだまし使って過ごすことにしよう。
というわけで、購入は保留。カタログだけではわからないことが多くあることに気づいたので、秋葉原から近い神田神保町の山道具屋を数軒まわって研究することにした。残念ながらVL-32が展示してある店はなかったが、アライなどの軽量テントを見ることができた。それらを見て思ったことは強度が弱そう、ということだった。ボトムなんて薄っぺらくてすぐに破れちゃいそうだ。となると、もしこれらのテントを買うとしたら、グランドシートも買わないといけないな。もちろん重量は増すが、それでも今使っているW371よりも軽くてすむか。ふうむ。
今年始まったNHKの新シリーズ。ハイビジョンできれいだっつうから、見てみた。1月に放送した第1回がひどい内容だったので、今回はさほど期待せずに映像だけ楽しむつもりで。
オープニングからいきなり白馬岳の花畑やら涸沢の紅葉やらが流れてなかなかイイカンジ。あとで知ったのだが、これは番組の公式サイトの目次ページのフラッシュと同じ。もちろん、テレビの大きな画面でハイビジョンで見られたわけで、その方がいい。
取材映像は5本で、志水哲也&野村真美の西穂独標、田中律子の石槌山、奥山佳恵の三つ峠、荻原次晴の天狗岳、小野寺昭の大雪縦走というラインナップ。
その中で、初めて山に登る(それなのに「お薦め人」とはこれいかに)という田中律子のレポートが印象に残った。鎖場にとまどったり、ヤセ尾根で腰がひけてたりと、いかにも初めての山歩きといった風情。でもそのひとつひとつが楽しそう。あんなふうに楽しく歩けたらいいなあと思った。西日本の山にはほとんど興味がなかったのだけど、石槌山はおもしろそうだなあと思った。
三つ峠からの富士山がむちゃくちゃきれいだった。見てみたい。あと、小野寺昭と野村真美の、山小屋でよく耳にする枕詞「わたしはそこ登ったんですが」がとても耳障りだった。
それにしても、票の入りかたが摩訶不思議。富士山の1位は納得だが、2位大山と6位大峰は意外。南アは北岳が最高位(たぶん)だが、それでもベスト10に届かず。
ちなみに山渓2002年1月号の「読者が選んだ日本の山100」という人気投票の結果を見ると、ベスト10は
となっている。妥当な線かなと思う。ちなみに大山は24位、大峰は54位。山渓の読者あたりが選ぶとそんな結果になるのだ。
思うにNHKのこの中間発表の内訳は、山好きというよりは一般の人の投票が多かったのではないだろうか。富士山がダントツ1位ってあたりにそんなかほりが漂う。大峰も世界遺産指定の影響なんじゃないだろうか。・・・それでも、大山の2位は不思議だよなあ・・・
ちなみにわたくしはこのテの「お薦め」には投票しません。だって好きな場所が混んじゃうと困るから。
(2006年5月21日放送)
2週間前の甲州高尾山ハイキングに引き続き、山梨県に桜を楽しみに行った。今度は北西部で、最近の市町村合併で北杜市となったところ。
まずは小淵沢の、
思った以上の人だかり。これは急がねば。駅から歩いて行く予定だったがいきなりタクシー利用に変更。
到着は8:20頃。タクシー料金は1,210円だった。周辺は交通規制がしかれていて、車両侵入禁止ゾーンの手前で車を降ろされた。といっても桜の近くで、すぐにたどりつける。そして大糸桜は思ったよりも広い畑の中に立っていた。
まず目に入ったのは富士山で、桜と並んで見えたが、逆光で撮影には向かないようだ。あたりは、富士山だけでなく、八ケ岳、甲斐駒ケ岳、北岳、鳳凰三山などの名峰に囲まれるという山好きにはこたえられないロケーション。
いったん近づいて間近から枝を観察。包帯が痛々しい。満開だが、葉が出始めている枝も一部にはあった。
比較的近い場所から桜と甲斐駒を並べて眺めると、桜が山に向かって手をさしのべているようで面白かった。人がいなくなったら写真を撮ろうと構えていると、例によって、どこに行っても湧いて出てくる近○リの団体が登場。撮影は10分以上延期せざるをえなかった。
引き続いてカメラマンが大勢陣取っている水仙畑の奥へ。バックに甲斐駒・手前に水仙とロケーションは最高で、さらに桜じたいがちょうどこちらに向かって枝垂れているためひときわ美しい。ひとまわりしたが、結局この角度からが一番きれいだった。空が青ければ言うことはなかったのだが、この朝はずっと高曇りのままだった。
1時間以上もたっぷり楽しんでから、大糸桜を後に南へ。清春芸術村へ向かう。後ろを振り返ると大糸桜が八ケ岳と並んで見え、これまたいい眺めだ。
中央線の踏み切りを渡り、農道のような道を南へ。広い道路に突き当たり、左(東)に向かう。甲斐駒や鳳凰三山などの南アルプスや富士山をちらほらと眺めながら歩く。HOYAの工場があって、敷地内のソメイヨシノらしき桜が満開だったほか、道の周囲にも小さいながらも満開の桜がいくつかあった。
柿平の集落で右(南)へ。道が2本あるが、どちらからでも清春には行ける。なんとなく東側の道を選択した。新宿区の温泉施設「グリーンヒル八ケ岳」の周辺は桜並木になっていたが、ちょっと散り始めていた。この道を進んで正解だと思ったのは、甲斐駒がきれいに見えたときだった。小さな谷をはさんで西側の道が見えたが、あちらはその向こうに林があって甲斐駒の展望はなかったのではないか。畑と花と山という、里の春を満喫しながらのぶらぶら歩きは楽しかった。
清春芸術村に着いたのは10:15頃。大糸桜から30分ちょっとだった。
入館料900円をケチったのか、中に入らず塀の外から覗きこむようにして写真を撮っている人もかなりいたが、ここの良さは中に入らないとわからないだろう。ただし、ラ・リューシュの建物と桜とを合わせて見るには外からの方がいいかもしれない。
芸術村の敷地内は芝生(もちろんこの季節は枯れていたが)の広場で、彫刻やオブジェが点在しており、全体が展示場のようになっている。門のすぐ前に建つラ・リューシュの裏側に回ると、敷地を囲むように並んだ桜越しに鳳凰三山が見渡せて美しかった。
広場の最奥にあって目をひいたのが空中茶室「徹」だった。ムーミンの物語なんかに登場しそうな感じがする。桜に埋もれていると絵になるが、夏なんかはどうなんだろう。その桜は満開をちょっと過ぎてしまっていたようだ。が、風が吹くとはらはらと散る花びらがまた美しく、違う楽しみ方ができてよかった。
続いて美術館に入った。建物の設計は谷口吉生で、葛西の水族館や東博の法隆寺館でお馴染みの人だ。
入って左側が本館にあたるのだろうか。展示のほとんどがジョルジュ・ルオーで、さながらルオー美術館といったところだ。ルオーの絵は、見ているとなんだか厳かな気分になってしまう。宗教画ばかりなのだから当たり前といえば当たり前だが、無宗教を自認する自分は、他の画家の宗教画や日本の仏像なんかを見てもこれほど厳粛になることはまずない。なにかしら不思議なオーラが出ているのだ。ほとんど動揺に近い不思議な高揚感を味わった。
館内は、順路がらせん状に進み、会津若松のさざえ堂を思わせる。展示方法も、壁かけだけでなく階段にケースを置いたりなどしていて、おもしろかった。
右側の棟は、自然光が入って明るかった。
企画展示は梅原龍三郎。落書きみたいであまり好きではない画家だが、ここでは良かった。梅原というと富士山のどぎつい赤のイメージを持っているのだが、「浅間山噴煙」の淡い色使いは気に入った。「雉」は、撃たれたのだろうか、ぐったりと横たわっている雉の絵。通り過ぎようとしたが何かがひっかかる。しげしげと見ると、羽の部分に金色の絵具が使われていた。金は、どちらかというと絵の具ではなくマチエル的な使い方をするしかないと自分は思っていたのだが、これほど効果的に使われているのは素晴らしいと感じ。
芸術村で桜と絵を堪能してから、ごく近くにある超有名そば店の翁へと向かった。11時開店で、到着は11:10過ぎだったが、すでに待ちの人が大勢いた。これは覚悟していたことなので驚かない。まずは順番待ちリストに名前を書き、のんびり待つことにした。
順番が回ってきたのは11:40ごろだろうか。30分待たずにすんだ。メニューはざるそばと田舎そばの2品しかない。相棒とふたりで2種類のそばを1枚ずつとエビスビールを1本注文した。
まずはざるそばが運ばれてきた。つゆは鰹節の風味が強く、繊細な香り。そばも美味い。のど越しもよく、つるつると一気喰い。
続いて田舎そば。太い。太いそばはボソボソになりがちだが、これはそうではない。ただ、太くて短いため、つるつる・ずーっ、というわけにはいかない。そばの香りはざるよりも強く、そのくせ、うどんのようなもちもち感がしておもしろい。普段は細めの都会派そばが好きな自分だが、この2種類では田舎の方が好みだ。2枚では少し足りない気がしたので、自分だけ田舎そばを追加注文した。
そばはどちらも美味かったが、ビールがその風味を消してしまうのがもったいなかった。日本酒が何種類かおいてあるので、もし次の機会があったら絶対日本酒にしようと思った。なお、店内は全席禁煙。
翁を出て、長坂駅まで歩いて帰った。道は斜面の中腹についていて、雄大な南アルプスを眺めながら歩けるのがいい。
駅までは、大深沢川の深い谷を下りきったあと再び登る。この登りが満腹の腹ごなしにちょうどよかった。翁からたっぷり40分くらいかかってようやく長坂駅に着いたのは12:40頃。長坂は電車の本数が少なく、日中は1時間に1本または2本。電車が来るまで40分くらい待たされたが、駅前に図書館があったので、のんびりと過ごせたのはよかった。
(2006年4月22日)
自分の職場は関内が最寄駅なのだが、ひとつ手前の桜木町で降りて散歩がてら歩いて行っている。11月の下旬からめっきり秋めいてきたその散歩コースを紹介。
駅前からは動く歩道には乗らずに、信号を渡ってバスターミナルの裏に回って汽車道に入る。汽車道は、凱旋門のようなナビオス横浜に向かって曲線を描いて伸びている。入り口から見えるこの曲線は官能的といえるほど美しい。沿道の桜の紅葉はピークを少し過ぎたところか。
右手には
汽車道は休日は観光客でにぎわうのだろうが、平日の朝は通勤の人たちがまばらに歩いているだけ。朝の空気はすがすがしく、車の排気ガスを吸わなくてすむのがいい。人が少ないので、歩きタバコの被害に遭うことがあまりないのがなんといっても嬉しい。
元々は貨物線が通っていた鉄橋で、遊歩道となった今もちゃんと線路を残してある。少年時代(20数年前だ)、この辺りの岸壁に忍び込んでハゼ釣りを楽しんだものだったが、今ではその頃の面影はほとんどない。いかにも港らしかった雰囲気が好きだったが、現在の観光地化された風情もなかなか捨てたもんじゃないと思う。
線路はナビオスの下を抜け、一直線に続いた先に赤レンガ倉庫が見える。ナビオスの建物は一見へんてこな形をしているように思うが、実はこれは額縁の役割をしているのだ。よく考えたものだと思う。
信号を渡って赤レンガ倉庫の前でも通るか、と思ったがタイムオーバー。交差点から眺めるだけとする。
右に曲がって万国橋を渡る。万国橋は1940年竣工の石造りの美しい橋。橋の上からは、ランドマークから海に向かって段々に低くなっていくビルの様子がよく分かる。どうもドラマ「熟年離婚」でこの辺がよく出てくるらしい(自分は見ていないのでよく知らない)。
橋を渡ると神奈川県の木であるイチョウの並木になる(このあたりはイチョウ並木が多い)。イチョウはちょうど黄葉の盛りだった。すぐに横浜第二合同庁舎のレンガの建物が見える。レンガの赤とイチョウの黄のコントラストがきれいだ。建物は、目地が東京駅のような覆輪目地ではなくて平らなものであるせいか、薄っぺらいような印象を受ける。
本町通りとの交差点はMM線の馬車道駅出口で、馬車道のスタート地点でもある。馬車道から先は古い洋風建築がたくさんあって歩いていて飽きない。排気ガスには閉口だが。
まず目の前に旧富士銀行横浜支店の建物がある。いかにも関東大震災直後の建物らしく、がっしりとしている。ここは、以前借りていた家の家賃を払いに毎月来ていた思い出(?)の場所。中は柱だらけで見通しが悪く、ATMコーナーもわかりにくい場所にあったという記憶がある。今は銀行ではなくなっていて、芸大の大学院が入っている。
県立博物館も元は銀行であった建物で、国指定の重要文化財だ。横浜の洋風建築の代表格と言えるだろう。重厚な外観はかなりお気に入り。
逆に「??」と思うのはそのすぐお隣の日本興亜損保ビル。これまた元は銀行だ。建て替えのため取り壊し予定だった古いビルの外壁だけをなんとか残したらこんなになっちゃった。なんか安っぽいパチンコ屋みたいに見えて仕方ないのだが。
写真を撮りながら歩いたのでいつもより時間を食ってしまい、あやうく遅刻しそうになってしまった。コンパクトデジカメで撮ったのだが、こんなときはカメラ付き携帯の方がスマートだなあと思ったのだった。
朝まで降っていた雨もあがり、青空が見えてきたので午後から散歩に出かけることにした。境川沿いに歩いて南町田のグランベリー・モールに行くのがここのところのお決まりコースだが、今日はちょっと趣向を変え、川を離れて中央林間まで行くことにした。お目当ては、先月カレー・ミュージアムに行ったとき「カレーパン頂上決戦」で食べそこなった中央林間パンの家の「林間カツカレーパン」だ。
13時過ぎに家を出た。日差しがあるので長袖のTシャツ1枚と薄着だ。それでも、意識して早足で歩くので結構暑い。空は高く、通りがかった団地の広場ではカエデの木が赤く色付いて秋空とのコントラストが美しかった。
境川の河岸段丘の坂を登りきったときは汗がじんわりとにじむくらいだった。歩くには最高の陽気だ。塀の中の敷地に3棟もの住家が建っているような豪邸の並ぶ道を進む。同じ苗字が多い。さまざまな形の巨大な家は見ていておもしろい。
国道16号を渡る歩道橋からは、丹沢の山並みが見えた。丹沢の方は意外にも雲が多く、大山も隠れていた。
一度深堀川の谷状地形を下り、登り返す。どんどん道なりに進んでいくと林に入った。道はきれいに舗装されている。林はすぐに切れるが、気持ちがいいのでそのまま歩道を進む。が、太陽の向きを見るとどうやら南西に向かっているようだ。このままではたぶんつきみ野に行ってしまう。自分の体内磁石ももっと右に行けと言っている。地図くらい持ってくればよかった、と激しく後悔した。
そこで思い切って右ターン。大きな材木屋の間を縫い、幼稚園を過ぎると、突然右手を小田急電車が走り抜けた。おお、これ昨日のタモリ倶楽部の「電チラ」だな。うお、しかも白い列車の次にすぐさま反対からステンレス編成が。こりゃあポイント高そうだ。
電チラが見えたのは「セ・パルレ中央林間」というマンション群の間の道路からだった。このマンションは曲線が印象的で、見上げるとなかなかイイカンジだった。
もうここまで来ると中央林間の駅はすぐそば。お目当てのパン屋をネットの地図で見た記憶から探す。が、ない。ぐるぐるまわったが、ない。自分たちは2年前まで東林間に住んでいて、この中央林間近くもよく買い物なんかに来たりしていてちょっとは土地カンがある。で、そういえばサニーマート(今は美容室になってしまった)の近くにパン屋があったよなあと思い出し、まさかと思って行ってみたらビンゴだった。なあんだ、あのパン屋だったのか。名前までは覚えてなかったのだ。
店内にはいろいろな雑誌の紹介記事などが貼り出されていて、どうやらなかなかの評判のようだ。以前、何回かパンを買ったことあったけど、その頃はそんなに有名じゃなかったような。
お目当てのカツカレーパンは品切れ。トレイには、ズームイン朝で試食をしているシーンの写真が貼ってあった。なんと10月に放送されたばかりのようだ。それじゃあ人気が出ても仕方ないか。でも空腹だったので、ちょうど揚がった牛肉コロッケパンなどいくつかのパンを買って食べることにした。会計のときに相棒が何の気なく「カツカレーパンはもう終わりですか」と聞くとなんと「あと2分で揚がります」とのこと。
というわけで、少し待っただけで揚げたてをゲットできたのだった。とりあえず10数個並べられた「林間カツカレーパン」は、瞬く間に残り数個になってしまった。我々はかなりラッキーだったのだ。
先ほどのセ・パルレにたくさんベンチがあったので、そこまで移動してパンを食べた。
おお、これは美味い。中にはトンカツが2切れ。ちゃんと衣をつけて揚げてある。肉も柔らかくて歯できちんと噛み切れる。パン全体はクルトンで覆ってまるごと揚げてあり、このクルトンの食感がおもしろい。クルトンが油を吸うためか、カレーパンにありがちなギトギト感も感じられない。第一、カレーじたいが美味い。
夢中になって食ってしまった。一口分だけフィニッシュ用に残して他のパンに移る。まず牛肉コロッケパン。こっ、こりゃまた美味い。コロッケがサクサク。ちょっぴり多くてベチャ気味のソースがマヨラーの自分にはツボ。サクサクとベチャベチャの感覚が絶妙だ。続いてサンドイッチ。揚げ物もよいが、パン生地もしっとりしていてなかなかグッド。
腹いっぱいになり、残りのカツカレーパンで締めくくった。
満足したあとは、セ・パルレの北の雑木林を抜けて、東林間から相模大野に出て伊勢丹で夕食の材料を買って帰った。
林の中は今朝までの雨のおかげでぬかるみが酷く、抜け出たあと靴を見たらとても街中を歩いたとは思えないほど汚れていた。伊勢丹を出て谷口の跨線橋から見た夕空は美しかっ
た。よく食べ、よく歩いた一日だった。
南町田のモンベルショップのアウトレットで、テレマーク・ブーツを買った。
買ったのは、クリスピのフツーラというモデル。旧商品ということで、30,000円の品物がなんと5,800円。足を入れてみたら、履き心地はいいしサイズもぴったし。ほとんど衝動買いだ。
4シーズン使っているアリコのブーツは内張りが薄すぎてゴツゴツして痛いうえ、浸水がひどかった。春の尾瀬で、浸水してふやけた足をずっと締めつけていたおかげでひどい靴擦れをおこしたこともあった。履き心地のいい靴が欲しかったのだ。
靴紐がなく、バックルだけで締めるタイプ。バックルもベルクロで扱いやすい。革ブーツだが縫い目がほとんどなく、ベロも一体型で浸水には強そうな気がする。ベロの上端にもソフトな布地があって、足首にも良さそうだ(ここが革だと足首にめり込んで痛いのなんの)。ソールはビブラムの普通のテレマークのやつ。そういや流れ止めを付ける輪っかがない。けどゲーターにあるから大丈夫かな。
と、まあ、まだ買ってきたばかりなのでいいところばかりが目に付くのだが、さて世間の評判はどうなんだろう。帰宅して早速検索してみると・・・
なっ、なんと日本語では情報ゼロ。英語サイトでもほとんど見当たらず、テレブーツについて考察しているサイトで「ツアー向き」にカテゴライズされているだけだ。うーむ。
というわけで、この靴の写真は、Web上ではこれが世界初公開なんじゃないかとか思ったりしたのだった。
朝起きてみたら思いのほか天気が良かったので、久々に鎌倉にでも行こうという話になった。鎌倉はもうずいぶん長い間ご無沙汰だ。今時分は紅葉がきれいだろう。
鎌倉で一番紅葉が美しいのは、自分は
しかしいかんせん、起きるのが遅すぎた。鎌倉駅に着いたのは14時。覚園寺は毎正時に案内付きでの拝観で、所要時間は1時間(説明が長いのだ)。最終の15時の回に間に合った。しょうがない、今日は覚園寺だけ見られればいいや。
門前のもみじは散っているものとまだ青々としたものとが混在し、なんだかヘンだった。境内の紅葉もいまひとつだった。案内人の話では、今年はずいぶん紅葉が遅れており、ピークはまだまだ先だという。ひょっとすると12月下旬くらいになるのではないか、という話だった。しかし、覚園寺の拝観は年内は12月19日まで。ということで、今年は覚園寺の紅葉は見られないということに相成った。ただ逆に、例年この時期には落ちてしまっているというメタセコイアの黄葉が見られた。
国重文指定の本尊薬師如来三尊は、あまりぱっとしなかった。鎌倉後期の作なのだろうが、なんだか室町時代っぽい雑な印象を受けた。
なお、境内は一切の写真撮影は不可。なもんで、写真はありません。
16時に拝観終了。獅子舞の方に行こうと思ったがだんだん暗くなってきたので止めて、駅のほうに戻って夕食をとることにした。
10年くらい前は鎌倉にはよく行っていた。記憶をたどると、今回はどうやら21世紀になって初めてのようだった。そのころ何度か行ったシェ・ミヨシやらモンテ・コスタとか、お気に入りの店がなくなっていてちょっとショックだった。
そんな中でまだ頑張っている小町通の「る・ぽてぃろん」に入った。懐かしい。
今宵のコースはにんじんのムースのウニとゼリー寄せ、さといもとフォアグラとポルチーニのソテー、オマール海老の西京味噌焼き、牡蠣と青海苔のスープ、トリュフがたっぷり乗った真鯛ソテー、牛頬肉の煮込みにカリフラワーを添えたもの。ワインはボルドー、デザートはチョコレートケーキをいただいた。
いちおうフランス料理ということになるのだろうか。和食器に箸でいただく。目で見ても楽しめるのがいい。今日はオマール海老が美味しかった。味噌の風味とえびのぷりぷり感が堪らなかった。スープもちょっと変わった一品だった。汐の香りがよかった。チョコレートケーキは焼きたてのとろとろだった。至福のひとときだった。
5.1chサラウンド放送のハイビジョン特集「世界自然遺産を行く」シリーズの第4弾は日本の屋久島。
いきなり雪のたくさん積もった映像に始まって、春・夏から秋へと、四季を通して見られた。(2時間のうち、秋は10分もなかったけど)。いくら標高が高いとはいえ、鹿児島より南にある島にあんなに雪が積もるというのは、知ってはいてもどうも違和感を覚える。有名な縄文杉も、冬は根元のほうが雪に埋もれていた。
日本アルプスや北海道などの東-北日本の山ばかり歩いているので、あまり馴染みのない花々も多くてたいへん興味深かった。
また、夏の終わりにつぼみをつけて冬を越し、8ヶ月後に咲くというヤクシマシャクナゲだとか、日本で一番多くアカウミガメが産卵にくるのは屋久島なんだとか、勉強になった(徳島あたりだと思ってた)。
5.1chのサラウンド感もなかなかよく、渓流を遠くから近くへと連続して映したシーンでは、音も遠くから近くへと移動する感覚があった。台風、とくに濁流なんかはかなりの迫力だった。試しにプロロジックIIで見てみたら、細かい風の音なんかが聞こえなくなってしまった。なるほど、ドキュメンタリー番組をサラウンドで放送するとこういう効果があるのか。
森田美由紀アナの声も聴き疲れのしないいい声だ。あまり声が低いとウチのヤマハTSS-15では音が割れてしまうのだが、一番低いぎりぎりのところにあるみたいだ。三國連太郎の語りも渋くて良かった。
屋久島は縦走してはみたいけど、遠いうえに雨が多いのがネックだ(梅雨時は日本の年間平均降水量の半分近くが1ヶ月で降る)。その気になるまでは録画したこの映像で楽しもうと思う。(NHK BS-hi/2004年12月9日放送)